超絶凄いロボットの労働への課税額は?

 労働時間から計算される人間の給料体系と、それをベースにした課税システムは、ロボットが人間と同じ内容の仕事を代行した場合にのみ適用可能だ。しかしながら、例えば人工知能などの発達により、人間よりもはるかに生産性が高い次世代ロボットが登場する可能性は高い。そうなってくると、状況は全く変わってくるのではないか。

 代替ロボットが、人間をはるかに超えた生産量を実現し、その上、はるかに高品質な製品を生産し始めたら、生産量や品質の向上に比例させて課税額を増やせばよいのだろうか? しかし、である。視点を変えれば、より優れた仕事や、高い生産性、品質の向上を求めて設備投資をした企業に対し、税の負担を重くするというのはいかがなものだろうか。そんなことをしたら、ロボットに投資しようという企業の意欲は薄れてしまうのではないか。

「ロボット時代」にソフトランディングするために

 ロボットの労働に課税するというアイデアには、社会がロボットを受け入れてゆくために、「ロボット化」の速度を抑制するという意味もあるとゲイツ氏は言っている。「たとえ自動化ロボット導入のスピードを遅らせても、課税をした方がよい」と同じインタビューで述べているのだ。

 しかしながら、やはりこれについても疑問が残る。その考えに従えば、ロボット労働の時代へとソフトランディングさせるために、技術開発のスピードにブレーキを掛けることになるわけだが、人間はテクノロジーの発達にブレーキをかけてもよいものなのか? ということだ。それは理にかなっていることなのか?

 もちろん現代では、テクノロジーの発達で得た利益が一部の少数の人の手に握られ、社会の二極分断化が進んでいるという現実もある。米国やヨーロッパを見ても、中流階級はどんどん崩壊している。富裕層と貧困層の二極化によって消費需要が落ち込み、大量生産の製品を消費者に買わせたいメーカーは窮地に追い込まれる。社会は立ち行かなくなる。現状への不満が社会的紛争を引き起こす要因となるだろう。とはいえ、ロボットへの課税によって、所得の再分配を促進し、今述べたような社会不安を緩和することは果たして可能なのだろうか。