「クラウド式機械学習サービス」の登場も相まって、機械──正確に言えばアルゴリズムが、すべての労働分野で人間にとって代わることになるだろう。(写真:PIXTA)

AIは幅広い分野に普及する

 人工知能(AI)の機械学習(事前に設定されたプログラムではなく、データの蓄積により自律的に法則やルールを見つけ出して処理するシステム)が、従来考えられていたよりも、大きな可能性を見せ始めている。「この仕事は機械には所詮、無理だ」といった固定概念は、もはや取り払われつつある。

 「MLaaS」(クラウド式機械学習サービス)の登場も相まって、機械──正確に言えばアルゴリズムがすべての労働分野において、人間に取って代わることになるだろう。そしてその事実に関して、様々な分野で大きな議論が沸き起こっている。間違いなく不利益を被る人もいるだろうし、機械を使う主体であるはずの人間がテクノロジーに置き換えられてしまうのだから、反発や批判が起きるのも当然のことだ。

 こういった劇的な変化を楽観的に受け止める人たちもいる。例えば、以下のような考え方の人たちである。
 “テクノロジーの進歩によって仕事が機械に置き換わることは、産業革命以降、昔からよくあることだ。機械の代替によりある職種が消滅する代わりに、以前は存在しなかった新しい職種が登場する。そして、新たに生まれた職種の環境への投資が行われ、労働市場の再編がなされ、最終的には新たな雇用が創出される──。”

 しかし一方、人工知能による自動化によって、もはや人間の労働力は必要とされないだろうという悲観的な考え方もある。最も早期に影響を受ける分野──つまり消えてゆく雇用として、「3D」と呼ばれる分野がある。「Dull(退屈な)」「 Dirty(汚い)」「 Dangerous(危険な)」といった形容詞で表現される職業だ。まず、それらの職業が人工知能などのテクノロジーによって取って代わられると、多くの人たちが思っている。

 これらは大抵、「ブルーカラー」と呼ばれてきた仕事である。例えば、組み立て作業、建設業、鉱山での労働、工場の流れ作業、トラックや自動車の運転…などなどだ。機械によって代替されるべきだという考えの根底にあるのは、非人間的労働に従事する人々や、労働から疎外されていると感じている人々は、テクノロジーによって解放されるべきだという考え方である。

AIが人間を労働から解放すると──失業する

 しかしながら、自動運転技術の進歩を見ればわかるように、現時点で運転を生業にしているタクシー運転手や、トラック運転手の仕事が、そのうち自動運転のようなシステムに取って代わられると、運転手たちにとっては労働の疎外からの解放どころか、失業という酷な現実が待っているというわけだ。

 ところで、人工知能の機械学習の「ホワイトカラー労働」への影響に関しては、あまり巷の話題に上がってこない。おそらくホワイトカラーの仕事には機械化は必要ないと考えられているか、もしくは「人間本来のクリエイティブな仕事だ」ととらえられているからだろう。