彼らはスマホなどのIT機器からOS(基本ソフト)、決済基盤、ネットワークまで握り、ユーザーのあらゆる行動を巨大なデータベースに記録し続けています。人類史上、これだけ膨大な数の人間の情報を集約・管理した営利企業は1社もないはずです。彼らがアルゴリズム1つを調整することで利益を最大化することができるのは間違いないし、コミュニティーに参加するユーザーのオピニオンをある方向に導くことだってできるかもしれません。米大統領選をも左右したと言われるフェイクニュースは彼ら自体が生み出したものではありませんが、彼らのプラットフォームの威力を証明した事象ではありました。巨大情報寡占企業に対して私たちができることは「善であってほしい」と願うことだけです。

 人間が非合理な生き物だからこそ、その非合理を糧とする政治の力――経済合理性だけで意思決定がなされるのであれば、政治はいらないはずです――を侮るべきではありません。インターネットがもたらしたソーシャル・ネットワークの力は、人類が経験したことのない水準で純粋な直接民主主義を生み出すことになるでしょう。その威力を信じるからこそ、インターネットが登場した当初の理想とは裏腹にそのインフラが一部の巨大企業に集約してしまっていることには一抹の不安を覚えざるを得ません。2018年以降、ブロック・チェーンなど、真に分散的な、インターネット的な信用保証の仕組みがフィンテックなど金融以外の分野にも広がっていくことにも期待したいと思います。

古くて新しい問い「人間とは何か」

 理由もなく家族や他人を愛したり、逆に嫌ったり、無意味で生産性のない趣味に興じたり、機械で作れるものよりも手で作られたものを好んだり。人間とは、およそ合理的でない行動を取る生き物です。しかし、そうして私たち個々人がそれぞれの魂と命じるままに振る舞っていると思っている行動が、本当は遺伝子の学習によるものかもしれない。AIが容易に代替できることなのかもしれない。あるいはソーシャル・ネットワークの中で、意識することなく刷り込まれているものかもしれない。私たちは、そうした不安とともに生きる時代に足を踏み入れたのだと思います。

 人間とは何か。このあまりに古臭く、衒学的ですらある、社会や経済とは無縁だと思われていた問いを、企業や個人が考えなければならない時代を迎えつつあるように思います。

 日経ビジネスオンラインは2018年、いくつもの新しいチャレンジを試みます。経済や社会の変化を一足早く、より深くお伝えするメディアであり続けるべく努めます。人間とは何か。私たちは何をなすべきか。その根源的な問いを追いかけながら、日々のニュースに取り組みたいと考えています。ご期待ください。

 2018年が、皆様にとってよき1年となりますことを祈念申し上げます。