ナイアンティックの創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるジョン・ハンケ氏は昨年10月、この岩田社長の発言に関連して、こう話していた。「(ポケモンGOの)ゲーム内課金は、もっとゲームを味わい深くするような形で入れていく。プレーする人が勝つためにお金を払うような形にはしない。“品のある”やり方でやりたい」。

 実際、ポケモンGOは今のところ、ハンケ氏の言うように、品のある課金にとどまっている。モンスターボールは1つあたり日本円で6円程度の単価。そこら中で拾えるものとに差はなく、熱くなったユーザーがつい課金し続けてしまう類のものではない。

米国ではポケストップに近いことを売りとするレストランも。ルアーモジュールでポケモンをおびき寄せ、集客効果を高める店舗もあるという

 もう1つ、「ルアーモジュール」というアイテムもある。購入すれば、特定のポケストップに30分間ポケモンをおびき寄せることができるというもの。ただし、効果は自分だけではなく、ルアーモジュールを仕掛けた場所の周辺にいる別のユーザーにも及ぶ。これも、特定のユーザーが勝つために際限なく課金し続けるようなことはないだろう。

 それでも、爆発的なユーザー規模をごく短期間に築いたポケモンGOは、それなりの課金収入をもたらしているようだ。米調査会社のセンサー・タワーは、1日あたりのアイテム販売の収益は約160万ドル(約1億6000万円)と推定する。公開後4日間で約1400万ドル(約14億円)を売り上げたとする別の調査会社もある。

「岩田さん、ようやくここまで来ました」

 仮に後者をもとにすると、プレーヤーが2000万人として、1人あたり約70円の計算。ナイアンティックは、「広く薄く」という新たなビジネスモデルを岩田社長の遺志を継ぐかのように築きつつある。もっとも、岩田社長には「彼らなら安心して任せられる」という確信があったからこそ、この協業の話を進めたに違いない。

 16日、ハンケ氏はお台場で開催したイングレスのイベントで数千人のファンを前に、ポケモンGOが日本で配信される時期を「もう間もなく」と明言した。その場にいた10人ほどのユーザーに「ポケモンGOが配信されたら、やる?」と聞くと、全員がイエスの返答だった。

米ナイアンティックのジョン・ハンケCEO。16日のイベントで、ポケモンGOの日本での配信時期を「まもなく」と話した

 この日のイベントだけでも圧巻の規模だったが、日本で配信が始まれば、その何十倍、何百倍ものユーザーがナイアンティックの世界へと入り込むのだろう。

 日本人としてポケモンGOプロジェクトを始めた川島氏はポケモンGOを米国で配信した2日後、ブログにこう綴った。「岩田さん、ようやくここまで来ました。どうか空からどれだけの人々が外へと飛び出していくか、見ていてくださいね」。

 もうすぐ、日本でも熱狂が始まろうとしている。

イベントに集結した数千人のイングレスファンと記念撮影をするなど、ゲームファンとの交流も熱心だ