大事なのは、毎日歯を磨くように本を読むことだ

ミツハシ:SFの古典ですね。

シマジ:『ソラリスの陽のもとに』に感動した読者は多いだろう。この本は、国書刊行会が出したスタニスワフ・レムコレクションの1冊で、ポーランド語の原典から訳出され2004年に出版された本だが、久しぶりに読んで感動を新たにした。

 ちょっと前に、伊勢丹メンズ館のサロン・ド・シマジで文学談義に花が咲いてね。そのときに『ソラリスの陽のもとに』の話題になって、常連のアキヤマからポーランド語版からの翻訳が出てますよと教わって早速購入したんだ。そうしたら、国書刊行会の本だった。ここは本当にいい本を復刊させるね。たぶん、こういう目立たない、だが良心的な仕事というのはビジネス的には赤字だろう。だからこそ、「乗り移り」読者はこういう良書を買って、日本から出版文化が消えないように応援してほしい。

 最後に2冊『湛山読本』(船橋洋一著、東洋経済新報社)と『イタリアからイタリアへ』(内田洋子著、朝日新聞出版)を薦めよう。

 『湛山読本』は、東洋経済新報社の主幹として活躍したジャーナリストで戦後は政治家に転じ、首相を務めた石橋湛山の論説70本を朝日新聞出身のジャーナリスト船橋洋一さんが解説した本だ。このすがすがしい自由主義者の政治家がいまの時代に生きていたら、一体どんな言葉を投げかけるだろうな。石橋湛山の慧眼に驚かされる一冊だ。

 内田洋子さんの本は、これまでにも何冊か紹介してきたと思うが、新刊の『イタリアからイタリアへ』も素晴らしい。

ミツハシ:私も内田さんの本は大好きです。よくこれだけイタリアの人々の暮らしの内側に入り込んで見事な物語を紡げるものだと、いつも驚かされます。

シマジ:今回の本は、これまで以上にイタリアの暗い部分、難しい部分に踏み込んでいる。俺はイタリアというのは日本の先行指標じゃないかと思うところがあってね。この本も「乗り移り」読者にぜひ読んでもらいたい。

ミツハシ:そういえば相談者は、シマジさんの読書は「1冊ずつ読みますか?あるいは併読ですか?」と訊いていますが。

シマジ:あまり意識したことはないが、何冊か並行して読んでいるね。1回2~3時間の読書時間は1冊の本を読み続けているが、その次の時間には別の本を手に取っていることが多いかな。まあ、読書スタイルは人それぞれだから、好きなように読んでくれ。大事なのは毎日歯を磨くように本を読むということだ。

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