女性の口説き方を教えてください

Q37歳の独身男です。女性の口説き方を教えてください。趣味でヒップホップダンスを習っているのですが、同じクラスに気になる女性がいます。と言っても、話すチャンスといえば始まる前に数分ホールの前でみんなで待っているときか、終わって着替える前くらいしかありません。合コンや友人の紹介で付き合ったことはあるので、そういった場合のやり方はわかるのですが、こういった場で出会ったときはみんなどうやって口説いているのかなと不思議です。島地さんならどうされるか、ご教示ください。

(37歳・男性)

ミツハシ:何ともまあストレートな相談ですね。

シマジ:言うまでもないが女性の口説き方に王道などない。こうすればどんな女も必ず口説けるなんていう魔法の方法があれば、誰も苦労しない。

ミツハシ:ホント、そんな方法があれば教えてほしいですよ。

シマジ:いや、ミツハシ、必ず成功する口説き方なんてものがあったら、わざわざ女を口説こうなんて気持ちにはならないんじゃないか。100%勝てる相手と将棋や囲碁をしようという奴はいないし、どんな暇人だって1回解いたクロスワードパズルをもう一度やろうとはしない。フラれたり、無視されたりする可能性があるからこそ、男は女を口説き落とすために知恵を絞り、時間を使い、カネを費やす。

ミツハシ:確かにその通りかもしれません。オスがメスを100%獲得できる方法があれば、性淘汰なんて起こりえないし、そうすればクジャクやシマジさんがここまで派手な装いになることもなかったでしょうね。

シマジ:ちょっと違う気もするが、概ねそういうことだ。だから、これから話すことは、こうすれば相談者が意中の女を口説けると保証するものではない。俺が74年の人生の中で実践してきた個人的な方法にすぎない。「こういった場で出会ったときはみんなどうやって口説いているのかなと不思議です」と相談者は言うが、37歳にもなる男がこんなことを訊いてはいけない。みんなそれぞれの方法で口説いているんだよ。

「スケベ光線を取材してこい」

ミツハシ:ということで、シマジさんの方法を聞かせてもらいましょうか。

シマジ:目は口ほどにモノを言う。

ミツハシ:またスケベ光線ですか。

シマジ:左様。男と女のことはすべてスケベ光線から始まる。フランク・シナトラもStrangers in the nightで歌っているじゃないか。「知らない者同士が夜、視線を交わす。夜が終わるまでに愛を交わす機会はないかと」。これだよ。あらゆるカップルは最初、見知らぬ者同士だったんだ。そんな男女がexchanging glancesによって惹かれあう。このglancesこそスケベ光線だ。目と目で会話をするんだよ。

ミツハシ:シナトラの名曲はスケベ光線の歌だったんですね。

シマジ:間違いないね。「週刊プレイボーイ」の編集長時代、部員のコミネに「スケベ光線の取材をしてこい」と命じたことがあるんだ。コミネは「スケベ光線なんてあるんですか。だいたいそんなものどこで何を取材すればいいんですか」と納得できない顔をしていたから、「まずは大沢在昌と北方謙三に話を聞いて来い」とアドバイスしてやった。

 早速コミネは大沢のことろに電話をして「先生、スケベ光線というテーマで取材をしているんですが」と説明し始めた。大沢から「何だそれは?」と訊かれたんだろうな、「モテる男女の目から出る光線で、これを浴びると……」と汗をかぎながら一生懸命説明をしていた。

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