関係者50人が集まるプレゼンテ―ション会議

斎藤:大山社長ご自身も日頃から情報網を広げてアイデアの素を探していると伺います。具体的に商品開発にどのように携わっておられるのでしょうか?

大山:ほとんどの会社は駅伝方式で商品開発を進めています。第1走者が商品を提案し、第2走者が設計し、第3走者が原価を計算し、物を作り、最終走者の営業がそれを売る。

 しかし、この駅伝方式は効率はいいかもしれませんが、第1走者の考えが最終走者には半分も伝わらないことが多い。開発途中でゆがめられて、最初は尖っていた商品が、何の特徴もない角の取れた商品になってしまうんです。

 当社は違います。毎週月曜日に開く商品開発のプレゼンテーション会議では、階段状の会議室の中に、だいたい50人くらいが集まります。その提案の場に、営業から技術者までいろいろな関連部署の人が集まって情報を共有するんです。もちろん、私も参加します。

毎週月曜日に行う商品開発会議の様子(2012年10月撮影、写真:尾苗清)
毎週月曜日に行う商品開発会議の様子(2012年10月撮影、写真:尾苗清)

斎藤:大山社長はそこでどのような役割を果たされているのでしょうか?

大山:私の役割は最終ジャッジです。商品開発会議では、プレゼンの段階から様々な部署の意見を聞きます。

 部下からの提案書にある情報だけだと断片しか分かりません。それではその商品が本当に売れるかどうか判断がつきませんよね。

 では、どうするかというと、たいていの会社では、競合商品と比較するしかありません。しかし、競合製品と比較した瞬間にオリジナリティーがなくなるんです。組織の中ではオリジナリティーが消されてしまっているケースが多いのではないかと思います。特に、ベンチャー企業は商品力が勝負ですから、他の真似をしていては大手企業には太刀打ちできません。

 ですから、私の役割は、商品化を決めたらすべて責任を負うということです。
 売れたら社員の頑張りのおかげで売れたよと言いますが、売れなかったら「俺が悪かった。あのとき俺がノーと言えば良かったのにな」と言うんです。そうして私が責任を負うことで、提案のハードルが下がり、社員がアイデアを出しやすくなります。私が責任を取ると言わなければ、社員は、ほとんどの人が失敗を恐れ、慎重になります。失敗してボーナスや給与を減らされたくないですから、当然ですよね。

斎藤:1000点も商品があれば失敗もあると思いますが、打率はどの程度なんでしょうか?

大山:野球だと、3割バッターは名打者ですよね。しかし、アイリスでは10件中、4件は空振りしてもいいと言っています。6割ヒットを打つと考えると大変ですが、4割空振りしてもいいじゃないかと。ホームランバッターは実は三振王なんです。ホームランを打つ人は、三振を避けていてはホームランを打つことはできません。私たちは打率よりも、売り上げに占める新商品の割合を5割にすることが重要と考えています。

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