コンピューターで配送管理するコックピット経営

斎藤:1都3県のどこから注文が入るのかはぎりぎりまで分からないでしょう。配送をどのように管理しているのですか。

松田:我々は独自に配送の仕組みを構築し、配送を店1軒単位の点としてではなく、線、そして面で考えています。

 一定のエリアごと、配送ルートをある程度決めていますので、配送は一種の路線便のようになっています。飲食店から注文があると、どのルートに乗せれば効率よく運べるかを考慮して配送順を組み立てます。深夜2時までに発注してもらえれば、その日の午前9時から午後3時までの間に納品しています。

 それを実現するためには、配送だけでなく、商品のピッキングや梱包も含めたオペレーションをいかに効率化するかが重要です。

 これまで、食材の物流は、専門的な仕事で素人には手が出せないと思われていましたが、調べてみると意外とシンプルだし、従来の仕組みではムダに使っている時間も多かった。それに、以前は「八王子エリアなら俺に任せろ」というドライバーがいたりして、物流のノウハウが属人化していました。この状態は、その地域が得意なドライバーがいなければ現場が困ってしまう不安定なものです。

斎藤:そんな属人的な状況があったんですね。

松田:そこで、我々はGPS(全地球測位システム)などを使ってこうしたドライバーに溜まっていたノウハウを見える化し、効率よく配送する仕組みをプログラムに落とし込んだのです。こうすることで、誰でもそのノウハウを活用して食材を運ぶことができます。こうしたコンピューターで管理した配送により、物流原価を下げてきました。今、当社のクルマがどこを走っているか、本社で見ることができます。このシステムがあれば効率的な配送ができます。

八面六臂では、社内で配送状況を細かく把握できる。松田社長(左)がシステムを操作する様子を見守る斎藤氏(右)(写真:菊池一郎)

斎藤:閉店後の深夜に注文して翌日届くのは、飲食店にとって便利ですね。

松田:従来の食材配送は、外食チェーン店を相手にするビジネスが多く、それぞれメニューがバラバラである個人店をターゲットに配達をする業者がほとんどいなかった。我々は、野菜1パックから届けて、個人店が各地の旬の食材をもっと使いやすくなるようなサービスを目指しています。

“地産都消”の橋渡し役

斎藤:生鮮食品のネット販売は大手でも苦戦することが多いものです。どうして八面六臂は成功したのですか。

松田:うまくいっていないところは、食材と工業製品を流通させるためのオペレーションが根本的に違うことを理解していない企業が多いと思います。

 現在、多くのネット販売は、今日、買い忘れても明日同じものを購入できる商品がほとんどです。

 しかし、生鮮品はその日限りの商品で次の日に同じものは買えません。バーコードがついていない商品の流通をどう管理するかが大事になります。生鮮品の流通は、通常のネット販売とは違うのです。