海外の先進事例を経営トップが体験すべき

 大胆な戦略を経営トップが進めるためには、トップ自ら、イノベーションが実際にはどんなものか、どんな過程を経て花開くのかを理解しないといけません。

 そのためにはトップが世界の成功事例を実際に目で見て体験する必要があります。米国シリコンバレーやイスラエルなど、海外のイノベーション先進地域で形成されているエコシステムのコア(中核)に飛び込んで、ネットワークをつくることが必須です。

 従来、コアとつながるネットワークを築くには、現地でネットワークを持つ人材を雇用してチームをつくる必要があり、なかなか日本の大企業が取り組むにはハードルが高い面がありました。そもそも日本の企業が現地でネットワークを作るのは難しく、現地で採用を行うとしても、エコシステムが出来上がっている地域の企業よりも、日本の企業が人材を採用するコストの方が高くなるといったことです。

 デロイト トーマツ ベンチャーサポートは、世界20カ国でベンチャーのエコシステムとネットワークを構築し、世界中の大企業とベンチャーの連携を支援しています。そのネットワークを生かして、日本の大企業が世界のベンチャーとネットワークを築くための後押しをしたいと考えています。

 これまでも、日本企業とシリコンバレーやイスラエル、インドなど世界各地の企業とのマッチング、世界各国におけるピッチイベントなどを開催してきました。その一環が9月11日に東京・有楽町で開催するイベント「デロイト トーマツ イノベーションサミット」です。出展する300社のうち120社は海外から有望なスタートアップを招き、日本の大企業との連携を活発化することを狙っています。私たちが日本で始めた大企業とベンチャー企業が連携するためのプラットフォームを、デロイトグループを通じて世界に広げ、結果的に日本の大企業やベンチャーが世界で勝てるチャンスを高めたいと考えています。

 私たちが世界を訪問して回ると、日本の企業には、今もブランド力があります。例えば、シリコンバレーのベンチャーがドローンを使ったビジネスを構築しても、実際に現場では機能しないケースなどがよく起きます。それに対して、実際の現場に落とし込んでどう育てるかという「現場力」は、まだ日本に強みがあります。

斎藤氏は、日本には「現場力」という強みがあると語る

 人口減少で日本国内の市場は縮小しても、今の日本が持つ強みを世界のベンチャーと組んで発信できれば、日本が生き残る道が確保できます。

 特にイスラエルやインドのベンチャーは資金力や販路が足りない企業が多く、資金調達や事業提携で日本の企業と組みたいという意識が米国や中国よりかなり強いと感じます。世界20カ国の拠点を巡った一つの結論として、技術のイスラエル、そしてマーケット規模のインドは、日本の大企業が攻めるべき2つのスタートアップ大国だと感じます。今後の日本の飛躍に向けて、まず、世界のベンチャーとつながり、グローバルな起業家が持つ熱気を知ることから始めてはいかがでしょうか。

(構成:原 武雄、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)

日経BP総研 中堅・中小企業ラボでは、2020年以降も成長を目指したい中堅企業の皆様を対象に、2019年1月から「中堅企業 成長戦略勉強会」を始めます。

中堅企業のトップ、経営幹部の皆様に、関心あるテーマごとにお集まりいただき、講師と参加者が共に学び合う場をご用意いたします。勉強会のテーマは「アジア進出」「デジタル化&生産性向上」「新規事業創出」の3つです。

この勉強会で、何が得られ、自社をどのように強化できるのか、勉強会の概要をご理解いただくための「中堅企業 成長戦略勉強会キックオフセミナー」を10月12日(金)に東京・秋葉原で開催します。基調講演は、東洋大学教授・慶応義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏。これからを勝ち抜く経営者の視点についてお話しいただきます。本セミナーの参加は無料です。自社を変えたいと考える中堅企業経営者・幹部の皆様、ふるってのご参加をお待ちしております。

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