日本のオープンイノベーションは大きく進展してきました。2010年代初めには大企業がベンチャーの製品やサービスを見て「これならうちでもできる。外部と組む理由がよく分かりません」などと話していました。それが、この3年ほどで「自社だけではできないので、ベンチャーの力を借りたい」と誰もが言うようになり、オープンイノベーションに対する意識が大きく変わりました。

しかし、まだ解決しきれていない課題がいくつもあります。その1つが大企業の新規事業のつくり方です。
その方法は大きく3通りあります。1つが社内の研究開発(R&D)部門から事業を立ち上げる方法、2つ目がCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を通じた出資によるベンチャーとの協業、3つ目が有力なベンチャーのM&A(合併・買収)です。海外の大企業は、目標に応じてこの3つをバランスよく使い分けています。
対して、日本の大企業は自社のR&Dに偏重しすぎです。大企業は、社内のR&D投資額を競うばかりで、従来は社外にほとんど目が向いていませんでした。
海外の企業は社内R&Dだけでなく、それを補完する形でCVCによるベンチャーへの出資やM&Aをするというスタンスです。つまり、社内R&Dのアウトソーシングと考えてCVCによる出資やM&Aをしているのです。
海外企業のような動きが強まれば、ベンチャーが起業した後のイグジット(出口)は、ハードルの高いIPO(新規株式公開)だけでなく、M&Aで自社を売却するという方法も有力となり、選択肢が増えます。これは、日本のベンチャーの起業をより促し、ベンチャーのエコシステム(生態系)を活性化することにもなるのです。
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