斎藤:これまで、ベンチャー企業のゴールはIPO(新規株式公開)かM&A(合併・買収)のどちらか。日本はIPO一辺倒で、景気が悪くなると起業ブームが縮小してしまう傾向にありました。今、僕らがやっている試みが浸透して、大企業がベンチャー企業に投資して育て、買収し、さらに新しいものを作るというサイクルができれば、ベンチャー企業は出口の選択肢が増える。景気に左右されない起業文化を創り出せると思っています。入山先生はどうお考えですか?

大企業と地方のベンチャーが組めば面白い

入山:自社の事業戦略の一環として投資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が地方の技術力のあるベンチャー企業と組むと、投資と成長のいいサイクルが実現できるのではないでしょうか。普通のVCはリターンまでの目算が短い。スマートフォンのアプリを開発するような、アイデアとスピード勝負のベンチャー企業ならいいのかもしれません。でも、技術力で勝負したいベンチャーにとっては、もう少し長い目で投資してくれるCVCの方が現実的なビジネスパートナーといえます。

斎藤:マーケットの構造的な変化も起きていると思います。今まで、大企業は「いいもの」を自社で作れば売れる時代でした。でも、経済がグローバル化するようになって、「新しいもの」を世界中から集めて売れる人が勝つ時代になりました。トレンドの移り変わりがすごく早くなっていますよね。

入山:経営学において、ビジネスにおける競争には「産業構造や経済の規模で優位なポジションを取って勝つ」「技術や人材などオペレーション力で差異化する」など複数の型があるとされています。でも、これは両方とも事業環境が変化しないという前提があるからこそ立てられる戦略です。悠長に「まずはポジションを確保して」などとやっていると、今の時代はあっという間にトレンドが変わって負けてしまう。競争の構造が本質的に変わってきているので、変化に対応できる“足の速い”ベンチャー企業でないと勝ち抜けない。今後、起業が活性化せざるを得ない状況になり、もっと増えてくるのは間違いないでしょう。

(構成:名嘉裕美)

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