斎藤:僕らの仕事はいわゆる目利きです。地方の面白いベンチャー企業を見つけ出し、場を用意して、ネットワークという“応援団”を提供する。大企業や金融機関などの側からしても、すでに選別の終わっている優良ベンチャーと交流できるので、非常に有意義です。「デロイト トーマツ グループとの付き合いのあるベンチャー」ということで、安心してくれます。

「目利き」のいないマーケットは縮小する

入山:有象無象の異業種交流会で名刺を交換して、「私たちはすごいビジネスをしています」と言われても、検証できませんからね。取引をする当事者間で情報の格差がある状況で、学術的には「情報の非対称性」といいます。中古車市場と同じですよ。相手の言っていることを信用できないとマーケットは縮小してしまう。中古車市場は、実現する可能性のある規模より何割も小さいといわれています。「Morning Pitch」ではこの情報の非対称性の問題が解決されているから、イベントとしての知名度もどんどん高まっているんですね。

斎藤:「Morning Pitch」の定員はもともと150人で、今は180人に増やしました。それでも、枠が一瞬で埋まるんです。参加できない人のほうが多い。さらに、会場に来られなかった人も、ウェブサイトで登壇した会社をチェックするので、電話がたくさんかかってきます。

入山:米国の、ノースダコタとかアラバマみたいな田舎の“ポテンシャルはありそうだけど注目されない企業”に「シリコンバレーまで来てプレゼンしろよ。ヒューレット・パッカードとグーグルとアマゾン・ドット・コムがいるから」と言うのと同じですよね。シリコンバレーの起業家だけで完結するのではなくて。

斎藤:東京だけでなく、全国7拠点でやっていますし、シンガポールでも月1回は開催しています。先日はデロイトのイスラエル事務所と東京をテレビ電話でつなぎ、イスラエルの現地スタッフが開拓してきたベンチャー企業にプレゼンしてもらいました。今後はさらにインドやシリコンバレー、ロンドン、ニューヨークなどとも連携する予定です。

入山:世界に広がるデロイトのネットワーク の大きさをうまく生かした仕組みということですよね。しかも、バーチャルではない、人と人との関係をベースにしている。その拠点を世界中に作るってなかなかできません。マッチング率の高い情報インフラをお持ちだということですね。普通のVCではできませんよ、こんなことは。