斎藤:教育面で心掛けていらっしゃることはなんでしょうか。

吉田:まず、最初は厳しく型にはめて、日本企業で働くことを理解してもらった上で、後は自由にやってもらう。幸い、僕は防衛大学で1年間だけ学んだことがあるので、その経験を生かしています。防衛大はリーダーを育てる学校ですが、リーダーシップを学ぶ前に、まず徹底的にフォロワーシップをたたき込まれるんです。つまり、型にはめるわけです。それが組織管理の要諦だと思っています。

台湾では、テレビのCMにも出演している有名人だ。その動画をパソコンで再生して見せてくれた吉田社長

斎藤:外国人に型を教える上では、どんな工夫をしていますか。

吉田:働き方や理念、営業方法などすべてマニュアル化しています。僕が作っているのですが、そんなことまでと思われるほど、こと細かにルールを決めています。例えば、台湾では朝9:30始業というと、9:30に職場に来て朝食を食べ始める人が多い。朝飯ぐらいすませてから来いよと思うんですが(笑)、それが現地の習慣、文化なんでしょうかね。だから、「朝食はすませてから来社すること」とマニュアルに定めてあります。あとは、お客様の所にスッピンで行こうとするので、「客先に行くときには最低限の化粧をすること」(笑)なんてのもあります。
 一事が万事ですよ。黙っていると、平気でTシャッツ、短パン、サンダル姿で会社に来たりしますし、オフィスで昼寝もしたりします。だから、服装はちゃんとしようね、昼寝はダメです、とマニュアルに書いてある。ただ、もちろん、台北の事務所では昼寝を許していますが。

社員間のウエットコミュニケーションを重視

斎藤:台湾と中国本土では考え方が違いますか。

吉田:台湾は日本的な部分も大きく、みんなで和気あいあいと楽しくやりたがります。僕らも付き合いやすいですよ。
 以前、編集部を2つに分けて競争させようとしたことがありました。ところが、1カ月くらいすると、「職場の雰囲気が悪くなったので、競争はやめてほしい」とみんな訴えるので、中止しました。
 それと比較するなら、中国本土では競争好きな人が多く、頑張って結果を出したら、その分はよこせと主張しますから。

斎藤:彼女たちの力を引き出すために心がけていることや制度は何かありますか。

吉田:それぞれの国の習慣や文化を理解することが大切です。日本企業がよくマネジメントで失敗するのは、中国語も話せない日本人リーダーが「俺の言うことを聞け」と押しつけるケース。これでは組織が回らなくなる。彼らは決して怠慢ではなく、それがカルチャーなんですよ。だから、問題があれば、その都度、丁寧に説明し、お願いし、マニュアル化する。どんな人が入社してきても、マニュアルを読めば分かるようになっています。

斎藤:マニュアルづくりのコツはありますか。

吉田:いろいろな事態を想定することですね。後は、パワーポイントにして箇条書きで、絵を入れて分かりやすく見せることです。月に1回は、みんなを集めて勉強会を開いています。その中で、なぜそうしたルールを作ったのか、1つひとつ理由を丁寧に説明しています。