斎藤:ラーチーゴーがこれだけ台湾人に支持されているのは、吉田さんが現地のことをよく知っているからですか。
優秀な留学生を日本で採用
吉田:僕もさすがにすべては分からないので、十数名の台湾出身のライター達に任せています。昨年、1人のライターが山梨県の清里を紹介する記事を書き、星を見に行こうと呼びかけたら、すごい人気になって、清里に台湾人観光客が押し寄せました。清里町から「いったい何をしたんだ?」と問い合わせがあったほどです(笑)。何であの記事がそんなに受けたのか僕は分からないんですけど。
斎藤:どのようにライターを集めているんですか。
吉田:採用にはこだわっていまして、一番多いのは日本に来ている台湾からの留学生をアルバイトで採用し、パフォーマンスがよい人材を正社員にするケースですね。どこよりも優秀なスタッフを採用していると自負しています。

斎藤:現地スタッフの感性をどのようにメディアに反映しているのでしょうか。
吉田:僕があれこれ口を出さず、スタッフが仕事しやすい環境を整備するようにしています。現在、社員21名のうち、台湾出身が14人、香港出身が1人、日本人が6人です。ライター達が取材しやすいように日本人スタッフがアポ取りを手伝ったり、PR会社からニュースリリースをもらったり、面白い情報を提供するなど、日本人が後方支援の役割を果たしています。
斎藤:外国人スタッフには自由に仕事をしてもらっているのですか。
吉田:基本的には任せていますが、一方で月間ユニークユーザー数を増やすことなどにコミットすることも求めています。企業のタイアップやPR記事ではやはりきちんと実績を上げなければなりません。どんなクライアントでも目標に対してはシビアですよ。数字として集客数を増やさなければなりません。
契約をもらってからが勝負だと考えています。四半期でレポートを出したり、データを分析したりして集客数や滞在時間などをどう伸ばすかを提案しています。
台湾のカルチャーを理解してマニュアル化
斎藤:経営していくうえで、これまで最も苦労したことは何でしょうか。
吉田:やはり、社員の管理ですね。国籍もバラエティーに富んでおり、しかも女性が大半なので、意思統一や教育が常に大変です。例えば、春節(旧正月)となると、台湾出身のメンバーは全員帰国してしまいますから。本音を言えば、現場は困ってしまうのですが、彼女らに帰るなというわけにはいきませんよね(苦笑)。
ときには中国語で諭したり、なだめすかしたりすることも必要です。頭にきて、ゴミ箱を蹴飛ばしたくなることもありますが、怒らず丁寧に説明することが大事です。
当社は成長優先でもなければ、IPO(株式公開)を狙っているわけでもなく、ともかく社員を大事にしたいと思っています。ベンチャー企業にありがちですが、たくさん採用してふるい落とすというやり方はしません。社員が生き生きと働くことができて、その家族もハッピーになってほしい。
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