斎藤:御社の主な収益源は、ラーチーゴーへの広告掲載でしょうが、どんなクライアントと取引があり、どんな効果がありますか。

吉田:クライアントは飲食店、百貨店、ホテル、ドラッグストア、自治体などです。観光は間口が広いので、いろいろなお客様がいます。
 これまで一番効果が上がった例の代表は、京都の業務用スーパーですね。そこは駅から少し離れていていたので、これまで訪日客があまり訪れませんでした。
 本来、台湾ではお菓子を大量に買って帰る訪日客が多いのです。そこで、ライターがこの店を取材し、土産に便利な小分けになっていて配りやすいお菓子の特集をタイアップで載せたところ、1日10~20組が来るようになりました。
 こうしたタイアップ記事も多く、純粋な記事とは区分けして掲載しています。台湾ではあまり気にしていないようですが、メディアの信頼に関わるので注意しています。もちろん、画像や記事の剽窃(ひょうせつ)は禁じ、引用も明確にするように社内のガイドラインを作っています。

上海でのビジネスを諦めた

斎藤:そもそも、なぜ台湾をターゲットにラーチーゴーを立ち上げたのですか。

吉田:海外でメディアビジネスを通じて社会の役に立ちたいという気持ちが最初にあり、その勉強のために大学卒業後に大阪の朝日放送に入社しました。そこで、担当したのは、テレビ広告の営業です。3年間勤めました。
 大学在学中から中国語を独学で学んでおり、そこそこしゃべれるようになっていたので、退職して12年の春頃に上海に渡りました。中国でメディアビジネスを始めようと思ったのです。なぜ中国かと言えば、資金もない僕が勝ち残るには当時、景気のよかった中国しかないと考えたのです。
 ところが、起業のためにいろいろと調べると、法律はどうも頻繁に変更されている。経済より政治が優先されるし、偽物が本物よりも売れているなんてことも。ここでは勝負できないと思いました。何しろテレビ局勤務で貯めた数百万円程度しか資金はないので、リスクが大きすぎるなと。
 すると、この年の夏頃、撤退を決断して帰国した直後に尖閣諸島国有化から始まった反日デモが激化。それまでイケイケだった知り合いの日本人経営者の店もほとんど壊されてしまいました。もし、居残っていたら大変なことになっていたはずです。

斎藤:ギリギリでしたね。そこで、次に狙ったのが台湾ですか。

聞き手のトーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤氏(写真:菊池一郎)

吉田:そうです。朝日放送の在職中から台湾のテレビ局と付き合いがあり、友人が何人かいたので相談しました。すると、日本への旅行客が増えていて、日本の情報を求めているし、メディアビジネスをやるなら友人を紹介してくれると言うのです。
 それではまず、調査も兼ねて、自分個人のフェイスブックを開設し、本に載っていないような情報を発信しようと思ったのです。バーゲンセールスや桜の開花予想、花火の日程などを載せると、ファンがどんどん増え、たちまち10万人ぐらいになりました。