出口:だから、オックスフォードで優秀な人は外交官になる。その使命に気づけなかった人は、シティに行って金融に入り金儲けをすると(笑)。

森田:イギリスの植民地統治というのは、基本的に現地で自治を認めながら、統治国のエリートをイギリスに連れていって、イギリスがいかにすばらしいかということを教え込んでいたんです。だから、インドで一番のエリートとして尊敬されるのは、きれいなクイーンズイングリッシュを話せる人なんです。

エリート教育が、国の行く末を左右する

出口:そうそう、インドのエリートの子どもを、みんな無条件にオックスブリッジに入れた。バングラディシュもそうですね。オックスブリッジに通っている人は、彼らを完全な仲間として扱います。すると、このインドやバングラディシュのエリートたちは「英国人っていい人だな」と思う。いくら本国でめちゃくちゃな統治をしていても、「これはレベルの低い人が来ているんだ。本当の英国人はすばらしい」と思うようになる。国のトップに立つような人が、英国への敵意を持たなくなるのです。これは、統治の方法としてすごく理にかなっています。

森田:アメリカもそうですよね。ハーバードなどの有名大学は、多額の寄附をした場合に子弟の入学を許可しているそうです。そのお金を使って、途上国のエリートを呼んできて育てている。アメリカの大学で教育を受けた人は、将来的にも親米的になる。しかも、大学の寮で同じ釜の飯を食っていた仲間が、将来のアメリカを動かすエリートになるから、エリート同士の人的ネットワークができる。すると、ちょっとした外交問題は、直接話して解決できたりするようになるんです。

出口:そう考えると、やっぱり大学って使いようによっては、国の発展に大きく役に立つのです。先ほども出たように、人口減少問題の解決策にもなる。大学をもっと上手に使って、国際化を進めていくことについて、国全体でもっともっと議論がなされていいと思います。

(次回へ続く)

(構成:崎谷実穂)