「移民」ではなく「留学生」で外国人を増やす
出口:人口が減少していく社会において、どういう手を打つか。「子どもを増やす」という発想もたしかにありますが、歴史的に見ると、もう1つ世界中でおこなわれていることがあります。それは、「外から人を入れる」ということ。
森田:いわゆる移民政策ですね。

出口:エイミー・チュアの『最強国の条件』によると、1995年から2010年にかけてシリコンバレーにできたベンチャー企業の52.4%は、外国人留学生が創業メンバーに入っていたそうです。Googleだって二人の創業者のうち、セルゲイ・ブリンはロシア出身です。Yahoo!の創業者メンバーであるジェリー・ヤンも、台湾生まれ。二人とも、子どもの頃にアメリカに移住していますが。なかには、アメリカ人だけという企業もあると思いますが、数字を見ると外国から来た人材とアメリカ人がお互いに刺激しあってベンチャーをつくっていることが類推できます。
森田:国の生産性を上げたいなら、新しい産業に優秀な人材を引き入れることは不可欠ですね。
出口:そうなんです。そこで、移民というと抵抗がある人が多いと思うのですが、留学生を増やすと考えたらどうでしょうか。つまり、大学にもっと外国人を受け入れていくのです。そうすると、日本人も刺激を受けますし、優秀な研究者・起業家が日本に残ってがんばるケースも増える。人口減少に対して大学を国際化するというのは、整合性のある政策だと考えています。
森田:それは、成功すると非常に効果があるでしょうね。そのためにはまず、日本の社会構造から変えていく必要があると思います。優秀な人に来てもらっても今のままでは、大企業に就職すると年功序列のシステムによって活躍させることができない。かといって、起業を応援する風土もない。けっきょく、留学期間が終わるとまた日本から出て行ってしまう。私は2011年にシンガポール国立大学に行きました。そこで聞いたのは、大学生の「日本企業には就職したくない」という声でした。
出口:うーん。
Powered by リゾーム?