森田:民間の研究機関である「日本創生会議」では、合計特殊出生率(※)が2025年に1.8、2035年に2.1に回復すれば、総人口が約9500万人で安定すると計算しているようです。でも、合計特殊出生率が2.1を超えても、子どもを産む世代の女性の数は2010年から60年の間に約46%まで減ります。そうすると、この減り方を上回るだけの出生数がないと、維持できない。希望出生率が1.8だからといって、合計特殊出生率がそれに沿って上がるとは思えないし、基本的には人口が減ることを前提にして社会のあり方を考えていく必要があると思います。

※ 一人の女性が一生に産む子どもの平均数を指す、人口統計上の指標

人口が減り続ける社会は、まだ誰も体験していない

出口:人口が減り続ける社会というのは、歴史上はあまり例をみないですね。

森田:日本の人口って、平安時代は500万~700万人くらいで、戦国時代から江戸時代初めころが1200万人、江戸の半ばから3000万人くらいになって、明治になってから急速に増えたんです。そして、2008年の1億2808万人をピークに、減少に転じました。短期的には増えたり減ったりしていたのですが、長期的なトレンドとして減り始めたこの状況は、まったく経験したことのない未知の世界なんです。

出口:たしかに。これまでの歴史的な知恵が生かせない領域に入っている、ということなんですね。でも、まだまだ生産力を高めるために、国が打てる手はあると思うのです。そのひとつは、子どもの貧困問題を解決すること。特に、大人がひとりの世帯の相対的貧困率は2009年時点で50.8%。大人が二人以上いる世帯の相対的貧困率が12.7%ですから、ひとり親世帯が特に経済的に困窮しているわけです。ここに集点をあてて、給付を厚くすることは焦眉の急を要します。

 それからもう一つは、女性の社会的地位の向上です。

次ページ 実利面と精神面、両面からサポートを