森田:この3原則が守られると、だいぶ出産・育児と就労が両立できますよね。

出口:かつ、婚外子を差別しないPACS(民事連帯契約)も、この政策パッケージに含まれます。国が本気を出して、出産・育児に関する選択肢を増やしたのです。これによって、フランスは出生率が1994年の1.66から、わずか10年で2.0前後まで上昇して、安定しました。

どれくらい本気で子供が欲しいのか

森田:人口問題の研究者によると、少子化というのは本当にさまざまな要因が関係しているんだそうです。だからこそ、こうすれば子どもが増える、と言える特効薬はないのが正直なところ。それはおそらく、「シラク3原則」についてもそうなんじゃないかと思います。フランスの場合はうまくいきましたが、日本でも適用できるかどうかはわかりません。

出口:なるほど。日本だとフランスとは違う要因で、子どもを産まない人が増えている可能性もありうると。

森田:日本やドイツは長期トレンドとして、出生率が右肩下がりです。一方、フランスやスウェーデンは、一時出生率が下がりましたが、少し上昇してそのまま維持していますね。ただ、それは少子化を遅らせているだけという説もあります。ただ長期的な視野で見ると、日本で晩婚化は明らかに進んでいるので、子どもを産む年齢も総じて上がってくる。そうなると、産む人数は昔に比べて減ります。だんだんと人口減少をしていく、というのは正しい予測だと思われます。

出口:そうですね。人口が減っていくのは止められないでしょう。安倍首相が発表した「新3本の矢」の政策には、「希望出生率1.8」という数字が出てきましたが、これについてはどうお考えですか?

森田:希望出生率とは、国民が予定していたり、理想としていたりする子どもの数の数から算出した数値です。

 これは、例えば国民に「あなたは年収いくら欲しいですか?」と聞いて、「600万円あれば」「800万円は欲しい」「1000万円を目指したい」などと答えた数値を平均したら800万円になったということです。

出口:そうですね。

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