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 WRC(ワールド・ラリー・チャンピオンシップ、世界ラリー選手権)はシーズンオフがとても短く、11月に終わって、次の年の1月には第1戦ラリー・モンテカルロでシーズンが開幕します。F1の開幕戦が3月17日ですから、F1が開幕する頃には、すでに第3戦まで終わっているわけです。今年のWRCカレンダーは、2018年シーズンで開催された13戦に加え、新たにチリが加わり以下の全14戦で争われます。

  • 第1戦 モンテカルロ 1月24~27日
  • 第2戦 スウェーデン 2月14~17日
  • 第3戦 メキシコ 3月7~10日
  • 第4戦 フランス(コルシカ) 3月28~31日
  • 第5戦 アルゼンチン 4月25~28日
  • 第6戦 チリ 5月9~12日
  • 第7戦 ポルトガル 5月30日~6月2日
  • 第8戦 イタリア(サルディニア) 6月13~16日
  • 第9戦 フィンランド 8月1~4日
  • 第10戦 ドイツ 8月22~25日
  • 第11戦 トルコ 9月12~15日
  • 第12戦 イギリス 10月3~6日
  • 第13戦 スペイン 10月24~27日
  • 第14戦 オーストラリア 11月14~17日

 本当は、この中に「日本」の名前が入っているはずでした。2019年の開催が確実と言われていたラリー・ジャパン。なぜ、消えてしまったのでしょうか。その背景をじっくりご説明させていただきます。

 北海道で開催されていたラリー・ジャパンを覚えてらっしゃる方も多いかと思います。2004~2007年までは十勝地方で開催し、2008年に札幌に場所を移しましたが、2010年の開催を最後にWRCのカレンダーからは外れてしまいました。以降、ラリー・ジャパンは開催されていません。

 ところが、2017年頃から「ラリー・ジャパンが復活するのでは」とまことしやかに噂されるようになってきました。その背景には、もちろんトヨタが2017年にWRCに参戦したことがあります。当初は、東日本大震災の被災地となった福島県を含む東北地方や、富士山の麓の静岡県などが舞台となるのではとの噂もありましたが、新ラリー・ジャパンの開催地は愛知県と岐阜県となりました。

 ラリーは広い範囲の公道を使用するため、地元自治体、警察、そして住民の協力なしには成り立ちません。また、世界選手権ともなると、数百人~千人規模のオフィシャル、マーシャル(コースの安全管理、観客の管理などを担当する人たち)が必要です。マーシャルたちは、ほとんどが手弁当のボランティアですから、ラリーを開催した実績がない場所で、いきなり世界選手権を行うのは、とうてい不可能です。愛知・岐阜はトヨタの本拠地に近いうえ、全日本ラリーの中でも規模が大きい新城ラリーが開催されている場所でもあります。

2017年、トヨタはWRCに参戦。車両はヤリスWRC ©TOYOTA GAZOO Racing

WRC開催はどのように決まるのか

 ラリー・ジャパン復活の噂はどんどん膨らみ、ついに2018年には現実のものとなりました。

 2018年1月に、WRC日本ラウンド招致準備委員会が発足。2019年秋の開催を目指して本格的な活動が始まりました。大会の主催団体は、トヨタ・モータースポーツ・クラブ。国内のプロモーターはモータースポーツ関連のイベントや出版業務などを行う株式会社サンズ。この会社は、自動車関連雑誌で有名な三栄書房から独立する形でできたもので、ラリー・ジャパン運営事務局長に就任した高橋浩司氏は、雑誌「AUTO SPORT」や「F1速報」の元編集長です。ラリーの拠点となるサービスパークは、愛・地球博記念公園(通称モリコロパーク)に置かれることが想定されました。

WRC日本ラウンド実現へ向けた招致ロゴ © WRC日本ラウンド招致準備委員会