デザイナーや建築家と「木」をつなぐ

現状の流通はどうなっていて、どう変えていくんですか。

:これだけ森林大国である日本の国産木材がどうして流通しないかというと、大手の工務店が海外の木材を大量に安く買い取って流通させる仕組みが前提になっているからです。

 そこで流通している木材は、見た目が均一なまるで工業製品のような印象があります。しかし、そもそも日本家屋の職人たちは、柱一本、梁一本から自分で選んで、「ここにこの節があると味があるな」と木材の選定から建築をクリエートしてきたんです。

 ですから原点に立ち返って、デザイナーや建築家や職人たちが、自分たちで木を選ぶプロセスを取り戻せないかなと。大量生産のビジネスだと1円単位のコストカットが重要になるけれど、5個や10個のスモールビジネスだと、コストよりも一つひとつのストーリーの価値に光があたります。こうしたスモールビジネスのプロセスに、日本独自のオリジナリティーを発信できる可能性や、イノベーションの種がたくさん落ちているのではないでしょうか。

 また、原点に立ち返るだけではなく、最新のテクノロジーを取り入れることで、よりクリエーティブを飛躍させることを目指しています。具体的には、飛騨の木材のスペックをデータベース化して世界中のクリエーターが検索、オーダーできるような仕組みを作りたいんです。

それはニーズがありそうですね。例えば、カフェのテーブル一つでも、オリジナリティーを求める店は世界中にあるわけで。

:クリエーターの要望によっては、ストックできる仕組みがあってもいいですよね。「この木材、いつか何かに使いたいから、来年の春までとっておいてください」とか。

 東京では在庫はコストがかかるけれど、地方であればお金もかからない。昨年の春くらいから、建築家を何人か飛騨に連れて行ってみたんですが、とても評判がいいんです。もうすぐ宿泊できる場所も作る予定で、世界中から飛騨の木を使ってくれそうな人たちを呼び込むつもりです。(後編に続く)