「文化的カオス」が東京の魅力

確かに東京で生活する私たちも見逃しているような魅力が、ごろごろ転がっていそうですね。

:たくさんあると思います。そのストーリーは驚くほど多様なはず。視覚で表すなら360度、全方位に広がる万華鏡のイメージ。そんな文化的カオスが東京にはありますよね。

例えば香港にもカオスはあるけれど、九龍側に限定されている感がある。東京の場合は、どこに行ってもカオスを体験できるのかもしれませんね。

:そうですよね。この多様で複雑な有様が、世界の人にとって、唯一無二の魅力的な体験になるんじゃないかな。コンラッドやハイアットのように、世界中で約束された上質なホテル空間で世界を旅するのもいいのだけれど、それだけだと、その都市のリアリティーは薄れてしまう、そんな感覚を持っています。

前回、カフェ・カンパニー社長の楠本さんとお話して、都市の中の「A面とB面」という話題になったんです(「渋谷は、『A面とB面の人が出会う街』」)。いわゆる大企業的な立ち位置にいるA面の人材や資産と、一見ビジネスには乖離しているようだけれど、実はクリエーティブの源流となるB面の人材や資産。東京の魅力はB面の活性化にあるんじゃないかという話です。

:心から同感します。そしてそのためにはA面とB面をつなぐ仕掛けが必要です。

 A面がB面の可能性に気づいて、「一緒に何かやろう」とビジネスが動き出したときのエネルギーってすごい。逆にそうしなければ、B面は経済の仕組みから取り残されて廃れてしまう。だから私がやってきたのは、A面に向かって「面白いからB面を見てー!」って叫び続けることなのかもしれません(笑)。

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