東京のクリエーティブ産業に必要なダイバーシティ

東京をこれから進化させていくために、一番大事だと思われることは何ですか。

田川:避けて通れないのは「ダイバーシティ」なのではないでしょうか。

3つのDの「ダイバーシティ」ですね。多様な文化を背景に持つ人たちが交流することで、イノベーションが活性化される。

田川:ジェンダー、年齢、人種…。あらゆる意味での多様性が、クリエーティブ産業の成長には不可欠です。異なる者同士が遭遇することで創造性は育まれていくものですから。

 イギリス政府は、高度クリエーティブ人材を積極的に国外から連れてくる政策をとりました。入り口は、大学を中心とする大学教育で、大学卒業後にEU(欧州連合)圏外の出身者も、無条件で2年間イギリスに滞在できるビザを発給していました。

 これが非常にうまく機能して、多くの人がロンドン市内で就職したり、自分のスタジオを作ったりして土着しました。これは私の肌感覚ですが、今のロンドンのクリエーティブ産業を構成する人材の半分程度が、非イギリス人じゃないでしょうか。

 takramのロンドンオフィスのスタッフもイギリス人は1人だけで、他は非イギリス人です。私自身もRCAで学生を教えていますが、完全にイギリスの仕事をさせられている感じです(笑)。うまいですよね。外から呼んできた人材に、せっせと自国の問題解決や価値づくりをさせている。それが可能になる制度を政府がつくった。それが結果としては都市の魅力にもつながっています。海外の人材を受け入れる政策を単純に「労働力を補う」という観点だけで考えると、クリエーティブ産業を考える上では、ポイントを外してしまうと思います。

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