21世紀は都市間競争の時代だ。2020年東京五輪に向けて都市の改造や再開発が進む中、東京が世界で最も魅力的な「グローバル都市TOKYO」に進化するにはどうすればいいのか。2020年以降を見据えて「TOKYO」の持続的発展と課題解決に向けた具体的な提言を続けてきた(詳細は「NeXTOKYO Project」参照)。
TOKYOの進化の方向性を、NeXTOKYOメンバーである各界のキーパーソンと語り、未来へのヒントを探る。今回は為末大氏。義足開発会社のXiborg(サイボーグ)を立ち上げた為末氏。2020年に開催されるパラリンピックに向けた取り組みを通して、東京がどのように変わることを期待しているのか。聞き手はA.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明(NeXTOKYOプロジェクト)、構成は宮本恵理子。

為末さんは、「侍」という会社の代表として、スポーツを通じた企業のブランディングにも取り組んでいますね。都市と関連した実績があれば教えてください。
為末氏(以下、為末):スポーツ選手と企業の関係というと、従来は「企業のロゴをユニフォームにつけて宣伝する」というフォーマットが一般的でした。それが最近は、企業の本業とリンクした貢献が増えてきていて、「水泳の○○チームのトレーニングは、この企業のノウハウが使われている」といったアピールの方が宣伝効果も高いと言われています。
僕たちは以前、「ストリート陸上」と銘打って東京・丸の内で陸上競技をやったことがあるんですが、一番感謝していただけたのは三菱地所でした。浅草寺で体操をやった時も好評でした。
2020年の五輪でも同じようなことができたら面白いと思います。新国立競技場であれほどもめるんだったら、開会式は皇居前、陸上競技は行幸通りでやってしまうとか。いろいろな課題は当然ありますが、新しい五輪のあり方を見せてもいいんじゃないかと考えています。
為末:ありだと思いますね。都市づくりとアスリートって、これまでほとんど接点がなかったんですが、アスリートだからこそできる貢献はあるんじゃないかと感じています。
世の中の大多数を調査して得られるマーケティングとは別の、自らの身体を20年くらい繰り返し使い続けてきた「実践知」と言ったらいいでしょうか。実践知に基づく評価を都市設計に活かせる部分はあるかもしれないと思っています。

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