「アイデアの発信力」が日本の強み

いずれも元は海外から来たけれど、独自に練り上げている。なぜここまでやってしまうんでしょうね。

伏谷 :島国だから外に対する好奇心が強いのかもしれませんね。何でも取り入れるとめちゃくちゃになるけれど、何となく「これはいいね」となったものは、すごく考えてもっと良くする。その繰り返しなんでしょう。

 取り入れたもののルーツや本質を大事にするのも日本の特徴ですね。原則に素直になんです。タワーレコードもそうだけれど、創業者の精神をほかのどの都市よりも大切にしてきたから、世界で最もタワレコらしいタワレコが東京にあると言われている。だから創業者が来日しても、すごく喜ぶんです。「俺のDNAがここに残っている」と。

ディズニーランドやスターバックスでも同じような現象が起きています。元々の価値観を大事にしながら磨き上げています。

伏谷 :音楽もそうです。ヒップホップやレゲエが生まれた経緯を深く掘り下げたうえで、「日本語でどうやってくか」と展開していますから。

ほかに、世界から期待されている東京の役割として思いつくものはありますか。

伏谷 :敢えて言うなら、文化的な意味のリーダーシップでしょう。「食」の分野はすごい勢いで世界に広がっています。日本食レストランも各都市で本当にいい店が評価されるようになってきているし、フランスを中心に日本人シェフも育っています。

 日本人はコンテンツの本質を掴んで磨き上げるのが相当得意です。つまりアイデアの発信力がある。これをもっと強みとして自覚すると世界で重宝されるはずです。タワレコのキャッチコピー、「NO MUSIC, NO LIFE」も実は日本発のアイデアなんですよ。

アイデアの発信力は、ビジネスの起爆剤にもなります。さらに東京を魅力的な都市にするために、何が必要だと思いますか。

伏谷 :既にある資産をもっと活かすという意味では、「水」だと思います。東京は世界でも有数の水辺に恵まれた都市ですが、その魅力がほとんど伝わっておらず、とてももったいない。

 羽田空港からの水辺ルートの開発が進みつつあるようですが、「水辺で楽しめるエンターテインメント」には、もっと開発できる余地がありそうです。さらに、そういったエンターテインメントを外国人に気軽に楽しんでもらうためのアクセスの良さを高めないといけません。現状では、英語でチケットを買える場所すら分かりづらく、非常に不便を強いているはずです。