世界でも通用する日本の音楽シーン
そして東京版を伏谷さんが立ち上げた。
伏谷:細かい経緯は省きますが、タワーレコードを辞めた後で何をしようかと考えていた時に出会ったテーマが、「日本のカルチャーをどう世界に発信していくか」でした。当時はまだ「クールジャパン」という言葉を政府は言っていませんでしたが、観光立国にしようという機運は高まっていたし、世界に出て行きたいアーティストも少なくなかった。
けれど継続的に外に向けて発信しているメディアは当時、探せなかったんですね。そこで、もともと知っていた『タイムアウト』に可能性を感じて、創業者に交渉して実現しました。
とはいえ、最初は紙版を出せるほどの資金が集まらないと思っていたので、ウェブだけでスタートしました。デジタルファースト戦略を取ったのは東京版が初めてでしたが、結果的には時代に合っていたと思います。
一方で、ブランド認知のためにリアルな発信地も必要だと感じたので、世界で初めて「タイムアウト カフェ&ダイナー」をつくりました。

それが本日お邪魔したこの場所ですね。
伏谷:日本の音楽が、世界的に見ても非常にレベルが高いことは確かです。それは僕がタワーレコードにいた時代もそうで、当時はコーネリアス、ピチカート・ファイヴといったいわゆる“渋谷系”が海外で人気を得ていました。非常にハイセンスでクオリティーが高いと受け入れられていました。けれど英語ベースではないという点で、メジャーシーンへの進出には至りませんでした。
それが、今ではきゃりーぱみゅぱみゅにしてもBABYMETALにしても、原宿のライブとロンドンのライブで「オーディエンスの反応がまったく変わらない」という現象が起こっています。同じノリで、観客が日本語で大合唱している。オーディエンスの規模が格段に上がってきているようですね。
アーティスト側も「英語に寄り添わなきゃ」という姿勢は薄れていて、例えばONE OK ROCKも、最近までは日本語中心の楽曲で堂々と勝負していました。
伏谷 :BABYMETALの演奏力もすさまじくて、欧米発のヘビーメタルをベースに、斬新なエンターテインメントが生み出されたことに、海外の人たちも衝撃を受けている。ヨーロッパのフェスに出始めた頃から、かなり評価が上がっています。
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