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また一人、トランプ大統領の元から重要閣僚が去った(写真:ロイター/アフロ)

2019年の米国はどうなりますか。

高濱:まず、ドナルド・トランプ大統領の弾劾の可能性に注目が集まります。同大統領の長年の腹心と言われてきたマイケル・コーエン元顧問弁護士が18年12月12日、米大統領選挙時の選挙資金をめぐる違反や偽証をめぐって、ニューヨーク連邦地裁から禁固3年の判決を受けました。

弾劾のカギは「上院共和党議員を説得できる証拠」

大統領選挙をめぐる「ロシア疑惑」と直接の関係はありませんが、「弾劾」という「ダモクレスの剣」を突き付けられているトランプ大統領にとって手痛いボディブローになったのではありませんか。

高濱:確かにトランプ大統領にとってダメージです。コーエン被告は、同大統領とかって不倫関係にあった女性らに支払う口止め料に選挙資金を充てていたほか、ロシアでの不動産事業について議会で虚偽の証言をしました。同大統領は「俺は知らない。指示したことはない」と言っていますが、野党・民主党が同大統領への追及を強めるのは必至です。

 これに対してトランプ大統領の顧問弁護士になっている元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ氏は、Axiosのマイク・アレン記者とのインタビューでこう述べています。「トランプ大統領が指示していようが、いまいが、弾劾の理由にはなりえない。過去に選挙資金を使って不倫疑惑をもみ消そうとした民主党のジョン・エドワード上院議員(当時)は有罪にならなかった(同氏は民主党の大統領候補にもなった)。ビル・クリントン第42代大統領も弾劾を逃れた。下院が弾劾決議案を可決したものの、上院がブロックした。トランプ大統領もそう簡単に弾劾などされない」
("1 Big thing : Trump's Clinton defense," Mike Allen, Axios AM, 12/23/2018)

 「ロシア疑惑」についてはロバート・モラー特別検察官の捜査が最終段階に入っています。焦点は、ロシアによる大統領選挙介入でトランプ陣営との「共謀」があったかどうか、そして、トランプ大統領が捜査当局に対し「司法妨害」をしたのかどうか、です。

 中間選挙の下院選で圧勝した民主党が下院の委員長ポストを独占します。弾劾発議権を持つ下院の司法委員会はもちろん、情報特別、監視・政府改革、倫理などの各委員会は同特別検察官が提出する最終判断を手ぐすね引いて待っています。

 だからと言って、トランプ大統領に対する弾劾決議案が直ちに上程され、審議されるかというと、そうはなりそうにありません。司法委員長に就任するジェリー・ナドラー下院議員(民主、ニューヨーク州選出)は極めて慎重です。同氏は弾劾について「弾劾を発議するなら本当に弾劾できなければ意味がない」と言っています。

 下院が弾劾決議案を可決しても、上院で3分の2の議員が同決議案に同意し可決しなければ弾劾は成立しないからです。上院は共和党が過半数を占めています。

 弾劾決議案を上院でも通すには、「大統領を弾劾し、辞めさせなければ、国家は大変なことになり、米国憲法の精神が崩壊してしまう」という確固たる証拠を見つけ出し、共和党議員を納得しなければならないのです。