他の主要メディアは、日米首脳が北朝鮮の核・ミサイル開発を止めさせるために「圧力を最大限に高める」ことで一致したことを報じています。

 しかし圧力を強めても北朝鮮が核・ミサイル開発を止めなければ、米国は軍事行動に出るのか。各メディアとも「共同記者会見でその質問が出たが、トランプ大統領は軍事行動の可能性については言及を避けた」(AP通信)と付け加えています。

 考えてみれば、2日間の間に両首脳は10時間近くも一緒にいました。軍事行動の可能性について一切話さなかったわけがありません。となると、トランプ氏と安倍氏がゴルフや昼食・夕食など2人だけの時に何を話し合ったのか、が注目されます。

トランプ氏が安倍氏から引き出したかった言葉とは

安倍首相とトランプ大統領はお互いに「ドナルド」「シンゾー」とファースト・ネームで呼び合う、まさに肝胆相照らす仲のようですよね。安倍首相はゴルフのあと、記者団にこう述べています。「ゴルフ場では対話もうまくいく。お互いにリラックスした中で深い話ができる。難しい話題も織り交ぜながらゆっくりと突っ込んだ話ができた」と。

高濱:トランプ大統領の“暴走”(?)を抑えるための“お目付け役”であるレックス・ティラーソン国務長官やジョン・ケリー大統領首席補佐官、H. R.マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)たちのいない「差しの会談」でトランプ氏と安倍氏は何を話し合ったのか。確かに要注意ですね。

 かっての沖縄返還交渉の経緯を知る米国の元外交官が筆者にこんなことをつぶやきました。「2人だけの時にトランプが安倍に問いただしたかったことはただ一つだ。それは、金正恩(委員長)が『レッドライン』*1を超えた時、米国は北朝鮮に軍事力を行使する。そうなれば、北朝鮮は死に物狂いで報復するだろう。在韓米軍はむろんのこと、在日米軍に報復攻撃を仕掛けてくる」

*1:ワシントンの軍事外交筋では今、次の3つが「定説」になっている。(1)北朝鮮がグアム方向に向けてミサイルを発射、あるいは発射態勢に入った場合。(2)北朝鮮が在日米軍基地、在韓米軍基地を標的にミサイルを発射、あるいは発射態勢に入った場合。(3)北朝鮮が米本土に到達するICBM(大陸間弾道弾)を実戦配備あるいは実戦配備態勢に入った場合

 「在日米軍が標的になるということは、日本も攻撃を受けることを意味する。トランプは、安倍に『それでもいいか』と問いかけた。安倍から『No problem』(問題ない)という答えを引き出そうと考えても不自然ではない。差しの会談でそれを引き出せたのかどうかが重要だ」

 「安倍は共同記者会見で『すべての選択肢はテーブルの上にあるというトランプの立場を100%支持する』と言った。ということは『No problem』と答えたと解釈すべきだろう」

沖縄返還時の核再配備をめぐる「極秘合意」を彷彿させる?

そんな話は共同記者会見では一切出てきませんでしたね。安倍首相が「No problem」と答えたとすれば、まさに「密約」じゃないですか。なにやら、69年の沖縄返還交渉の際に佐藤栄作首相(当時)とリチャード・ニクソン大統領(同)とが極秘裏に取り交わした「沖縄への核再配備」の密約*2を思い起こさせますね。

*2:佐藤首相とニクソン大統領が取り交わした会話を記録した「極秘合意議事録」には、沖縄返還時に「核抜き」を実施する代わりに、有事の際には核兵器を再持ち込みすることについて「要件を遅滞なく満たす」と書かれていた。明らかに「非核三原則」違反だった

高濱:米国が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける事態になれば、もろに反撃を受けるのはむろん韓国です。けれども、日本も攻撃される可能性大です。まさに先制攻撃とは裏表の話になります。

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