共和党議会のトップ、ポール・ライアン下院議長がトランプ大統領候補を見限って、同時に行われる上下両院選で議席を死守することに集中していますね。上下両院の議席について現在の予想はどうなっていますか。

高濱:ライアン氏の危機感は大変なものです。大統領選は最終段階で米民主党のヒラリー・クリントン候補が米共和党のトランプ氏に大きく水をあけています。クリントン氏が勝利する確率を93%と予測する調査機関まで出ています。
("Who will win the presidency?" 2016 Election Forecast, FiveThirtyEight, 10/24/2016)
「女性蔑視発言」から露骨な人種差別発言まで様々な暴言が積もり積もって、「大統領としての資格なし」といった「査定」が下されたようです。こうした見方は民主党支持者や無党派層ばかりでなく、共和党支持者の一部にも浸透しています。
その火の粉は、2014年以降、上下両院で過半数を占めてきた共和党にも広がっています。共和党としては、たとえホワイトハウスを奪還できなくても、議会の「城明け渡し」だけは阻止したいところ。しかし「共和党が上院での過半数を堅持するにはもはや手遅れ」(米主要紙の政治記者)といった声すら聞こえてきます。
最新の予想では、民主党が上院で過半数を得る確率は74.1%、共和党は25.9%。どうやら「城明け渡し」となる可能性が出てきました。
("Chance of winning control," 2016 Election Forecast, FiveThirtyEight, 10/26/2016)
共和党カリフォルニア州支部の幹部の一人は、筆者にこうホンネをぶちまけています。「トランプ以外のある程度まともな大統領候補を立てていれば、共和党勢力が強い下院はもちろん、上院だって過半数を守れた。『疫病神トランプ』のお陰でひどい目に遭っている共和党現職候補がそこら中にいる。トランプの『セクハラ』のイメージが共和党候補に乗り移っているのだ」。
「女性を敵に回して選挙には勝てない」
トランプ氏の「わいせつ発言」のインパクトは「女性を尊重する国・米国」の国民にとっては想像以上に大きいのですね。それで、上院はどうなりそうですか。
高濱:上院は任期6年で、2年ごとに3分の1の議席を改選します。今回の改選数は共和党24議席、民主党10議席の合計34議席です。
選挙前の両党の勢力は以下の通りです。
民主党 | 共和党 | 独立系 | |
---|---|---|---|
現議席数 | 44 | 54 | 2(民主党寄り) |
改選数 | 10 | 24 |
選挙予想・分析の分野で全米屈指の存在である、バージニア大学政治センターのラリー・サバト教授の予想を紹介しましょう。
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