共和党主流派は議会選に専念

最終テレビ討論会を終えて、投票日まで20日を切りました。両候補はこれからどんな手を打つのでしょう。とくに気になるのはトランプ氏です。

高濱:共和党議会のトップ、ポール・ライアン下院議長は大統領選と同時に行われる上下両院選に集中する意向を示しています。共和党が分裂している状態で、トランプ氏に秘策はあるのか。

 トランプ氏に三行半を突きつけたライアン氏に対し、トランプ氏は激しく反発しています。共和党内はまさに“内戦状態”のまま、大統領選、そして上下両院選、州知事選に突入します。

 ライアン氏には、党のトップである自分がこのままトランプ氏を応援すれば、トランプ氏への反発が強い州で立候補している共和党の上下両院議員候補が落選してしまうかもしれないという危機感があります。

ここまできて、劣勢とされるトランプ氏に「オクトーバー・サプライズ」*はあり得るでしょうか。

*:大統領選投票日11月8日を臨む直前1か月の間に起る不測の出来事を指す。国際テロ組織アルカイダの首謀者、オサマ・ビンラディンが2004年、米同時テロの犯行を認める声明を出したのは典型例。2012年10月下旬には、強力なハリケーンが米東部を襲った。接戦だった大統領選の様相がこれらを機に大きく変わった。

高濱:「奇跡」が起こる可能性は常にあります。日本でも「政界一寸先は闇」とよく言われます。自民党副総裁だった川島正次郎氏の名言です。英語では「Anything can happen」ということになりますね。

 考えられる「オクトーバー・サプライズ」は3つです。

アサンジが放つ「極秘文書」内容

 一つは、ジュリアン・アサンジ氏が運営するウィキリークスがクリントン氏が国務長官(当時)だった時の極秘文書を公にすることです。アサンジ氏は反クリントンを明言しています。同氏を、ロシアの回し者だと指摘する米情報機関関係者もいます。

 暴露する文書の中にクリントン氏の政治生命を危うくする内容のものが入っていれば、状況が一変するのは必至です。例えば、私設サーバーを使ってやりとりしていたメールの中に国家機密扱いのものがあり、それが第三国に傍受されていたら、大統領選どころではなくなってしまいます。

 2つ目は、クリントン氏の健康問題です。9月11日に脳震盪で倒れました。以前から脳血栓症という持病を持っています。クリントン氏が選挙日前に倒れれば、有権者が「健康に不安を抱える候補」を大統領に選ぶとは思えません。

 投票日前にクリントン氏が倒れると、副大統領候補のティム・ケーン氏が民主党大統領候補に昇格し、トランプ氏と対決することになります。この場合、トランプ氏の芽が出る可能性も十分出てくるでしょう(参考記事:「討論されなかったヒラリー健康問題の深刻度」)

 第3は、国内外の情勢です。万一、米国内で過激派組織「イスラム国」(IS)による大規模なテロ攻撃が起ったらどうなるか。米有権者はどう反応するでしょう。トランプ氏は、ISに対して強硬に対応するよう主張してきました。米国の国民感情からいって、強硬論者のトランプ氏に投票する有権者が急増する可能性があります。