ボブ・ウッドワード記者の新著『Fear:Trump in the White House』。発売前から、ホワイトハウスを大混乱させている(写真:AP/アフロ)

ボブ・ウッドワード記者の新著『Fear:Trump in the White House』(恐怖:ホワイトハウスのトランプ)を米メディアが大々的に報じていますね。

高濱:発売は9月11日ですが、内容が事前に“漏らされ”、米ワシントンは蜂の巣をつついたような騒ぎです。中間選挙を70日後に控え、トランプ政権も共和党も強い衝撃を受けています。

 ホワイトハウスにいる大統領側近や主要閣僚、元政府高官たちがトランプ氏の大統領としての能力や精神状態について赤裸々に暴露しているのですから、騒がないほうがおかしいですね。

でもトランプ大統領の素行や言動については、マイケル・ウォルフ氏の『炎と怒り』とか、オマロサ・マニゴールト・ニューマン元補佐官の内幕物がすでに暴露していますね。別に新しくはないのではないですか。

執筆終えたウッドワード氏、大統領と11分間電話対談

高濱:それはそうですが、著者であるウッドワード氏のジャーナリストとしての業績や知名度、信用度はこの二人とはけた違いです。同氏は「ウォーターゲート事件」をスクープした伝説のジャーナリストであるだけでなく、その後、リチャード・ニクソン第37代大統領からバラク・オバマ第44代大統領まで8人の歴代大統領についての本も著しています。すべてベストセラーです。

 ウォルフ氏には申し訳ありませんが、ウォルフ氏の暴露ものが「手榴弾」だとすれば、ウッドワード氏のは「原子爆弾」です(笑)。

 ウッドワード氏は、16年の大統領選の時からトランプ氏について書こうと構想を練ってきたようです。そしてトランプ政権が発足したのを機に、「トランプ・ホワイトハウス」の内情を取材してきました。

 取材はこれまでと同じように徹底していました。大統領の周辺で働く側近や閣僚など数十人とインタビューし、そのやり取りの内容はすべて録音しているそうです。インタビューにかけた時間は数百時間に及んだと言われています。

 実は、トランプ大統領へのインタビューも試みたのですが、最側近のケリーアン・コンウェイ大統領顧問が「危険を感じたのか」(?)、同大統領には伝えずにウッドワード氏の要請を握りつぶしていたようです。

 ウッドワード氏は、執筆を終えた今年8月上旬にトランプ大統領と電話で11分間、話をしています。その時、同大統領は「知っていればインタビューに応じたのに」と言っています。

 この電話でのやりとりは録音され、ウッドワード氏はそのトランスクリプト全文を米ワシントン・ポストで公表しています。大記者に対するトランプ大統領の「おもねりぶり」が出ていて興味深いですよ。さすがのトランプ大統領も、やはり伝説のジャーナリストにはたじたじといったところです。
("Transcript: Phone call between President Trump and journalist Bob Woodward," Aaron Blake, Washington Post, 9/4/2018)