寄付・献金する外国政府は中東と西欧

寄付や献金をする外国政府や要人はどんな人々ですか。

高濱:クリントン財団の運転資金はすべて寄付や献金で賄っているわけですから<カネを出すもの拒まず>です。寄付・献金者には外国政府はもとより世界中の富豪や大企業も含まれています。

 これまでに同財団が公表したり、メディアの報道で明らかになったりした主な外国政府・企業・要人は次の通りです。

○外国政府
サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦、アルジェリア、オーストラリア、ノルウェー、ドイツ、ドミニカ共和国、カナダ、ドイツ、オランダ、英国

○外国企業、要人
ギルバート・チャゴリー(レバノン系ナイジェリア人の富豪)
ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ皇太子(バーレーン)
ムハンマド・ユヌス(バングラデシュ、ノーベル平和賞受賞の経済学者・貧困層向け銀行創設)
ロシア国有企業傘下のウラン採掘企業「ウラニウム・ワン」
民間軍事会社「ブラック・ウォーター・ワールドワイド」
張充聖・韓国繊維会社社長

「利益相反」の疑いのあるケースはわかっているのですか。

高濱:メディアが断片的に報道しています。15年には、調査報道で有名なピーター・シュワイザー氏が著した「クリントン・キャッシュ」(Clinton Cash)がヒラリー氏および周辺の「利益相反」疑惑を仄めかしました。シュワイザー氏は著書の中で、(1)ロシア国営企業が米採掘会社を買収する際に当時国務長官だったヒラリー氏が便宜を図ったこと(後述)や、(2)献金の見返りとして、巨額のハイチ災害救済資金を米政府に出させたといった具体例を挙げています。そこに前述の「ジュディシャル・ウィッチ」の暴露があったわけです。
"Clinton Cash: The Untold Story of How and Why Foreign Governemnts and Business Helped Make Bill and Hillary Rich," Peter Schweizer, Harper Collins Publishers, 2015
"New Book, 'Clinton Cash,' Questions Foreign Donations to Foundation," Amy Choozick, New York Times, 4/19/2015

ビル元大統領に「開城スピーチ」を依頼した韓国企業

 これまで明らかになった情報を基に検証すると、次のようなパターンがあります。外国国籍の富豪などからの要請は、ビル元大統領の側近でクリントン財団の役員だったダグラス・バンド氏経由で、ヒラリー氏の側近であるシェリル・ミルズ国務長官首席補佐官(当時)やヒューマ・アベディン同次席補佐官(同、現在はクリントン大統領選挙対策共同本部長)に伝達されています。

 要請の内容は、ヒラリー国務長官(当時)との面談を求めるものから国務省高官への紹介依頼まで多方面にわたっています。いくつかのケースを以下記しておきます。

【例】レバノン系ナイジェリア人のチャゴリー氏の場合、クリントン財団に100万~500万ドルを寄付して、ヒラリー長官(当時)周辺に接近し、ナイジェリアに建てる米総領事館の建設地の選定をめぐって暗躍したとされています。

 バンド氏はアベディン次席補佐官に「チャゴリーはレバノンでカギを握る人物だ」と伝え、「チャゴリーを重視せよ」というメッセージがジェフリー・フェルトマン駐ナイジェリア大使に伝達されています。

 チャゴリー氏はその後、米連邦捜査局(FBI)によってヒズボラ・シンパと見なされて米入国を拒否されています。
"He was a billionaire who donated to the Foundation. Last year, he was denied entry into U.S." Joseph Tanfani, Los Angeles Times, 8/28/2016

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