マナフォート氏(左)とコーエン氏。両氏に対する司法の追及は、トランプ大統領に大きな打撃を与えた(写真:AP/アフロ)

ロシアゲート疑惑捜査でにわかに進展がありましたね。

高濱:ドナルド・トランプ大統領の元「懐刀」が裏切ったのです。ロシアゲート疑惑捜査に直接関わり合いのある事案ではないのですが、トランプ氏にダメージを与えました。

 元顧問弁護士のマイケル・コーエン氏(51)が8月21日、ニューヨーク連邦地裁の陪審で司法取引に応じてこう証言したのです。「私は2016年に大統領選が行われる直前、トランプ氏と交際関係のあったポルノ女優ら二人の女性に口止め料を支払った。これに選挙資金を充てた。トランプ氏の指示に基づくものだった」

 この証言のポイントは次の二つです。一つは政治資金を流用して口止め料(ポルノ女優に13万ドル、元モデルには15万ドル)を払ったのは「トランプ氏の指示(at the direction of candidate)に基づく」と証言したこと。もう一つは「口止め工作はトランプ氏と連携して(coordination with candidate)実施された」と言い切ったことです。つまり、トランプ氏と共謀して選挙違反をやったというわけです。

 トランプ氏は、22日のテレビインタビューで「支払いを知ったのはコーエンが支払ったあとだった」と反論しました。またツイッターでも「コーエンのでっち上げだ」と発信しています。

 さて、どちらが本当のことを言っているのか。米主要メディアはコーエン氏を100%信用しています。各メディアはこぞって「ロシアゲート疑惑でトランプ包囲網狭まる」と報じました。まさに「判官びいき」は米国でも同じこと。それに「トランプは何を言っても誰にも信用されない下地が出来上がっている」(主要メディアの米政治ジャーナリスト)のですね。

モラー特別検察官は元側近二人を追いつめられるか

これはあくまでも選挙法違反で、ロシアゲート疑惑とは無関係ですよね。

高濱:そこなのです。ちょっと回りくどいのですけど、コーエン氏はトランプ氏のビジネスから家庭内の事情にまで精通している顧問弁護士です。つまり超側近だった人。ですからロシアゲート疑惑についてもトランプ氏から相談を受けていたはずです。

 コーエン氏の弁護士を務めるラニー・デービス氏は22日、「コーエン氏は(疑惑を捜査する)マイケル・モラー特別検察官が関心を持っていることをよく知っている」と説明しています。早くも、特別検察官の聴取に前向きに応じる考えを示唆しているのです。

 となると、トランプ氏とロシアゲート疑惑との関わり合いについて同氏が微に入り細に入り証言する可能性が大です。ちなみにデービス氏はかってビル・クリントン氏の法律顧問を務めた人物です。

21日には、大統領選の時にトランプ氏の選挙対策本部長だったポール・マナフォート氏(69)がバージニア州連邦地裁において脱税や銀行詐欺の罪で有罪評決を受けましたね。モラー特別検察官が起訴したケースで初めての有罪評決です。

高濱:マナフォート氏はトランプ氏の元側近の中でロシアと最もつながりのある人物です。トランプ氏とウラジーミル・プーチン ロシア大統領とを結びつけたのは同氏だったという報道も出ています。