北朝鮮の金正恩委員長(左)とトランプ米大統領。チキンレースの軍配はどちらに上がるか(写真:AP/アフロ)

ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮との威嚇の応酬がエスカレートしています。ニューヨークでは、株式市場でリスクへの警戒感が高まりました。日本でも緊張が高まっています。北朝鮮が米領グアム沖に向けて発射する弾道ミサイルが島根、広島、愛媛、高知の上空を通過するのを受けて、これを迎撃すべく地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を中国・四国に展開しました。
 こうした中、米国民は一連の動きをどう見ているのですか。

高濱:米主要紙は12日までこぞって、トランプ大統領と金正恩・朝鮮労働党委員長とが繰り広げる威嚇応酬について書きたてていました。

 ところが12日午後以降(東部夏時間)、極右「白人至上主義」がからむ暴走殺人事件*1がニュースの主役をとって代わりました。

*1:バージニア州シャーロッツビルで12日 に起った暴行殺人事件。極右・白人至上主義者とこれに反対する一般市民や市民団体とが衝突し起きた。トランプ大統領が白人至上主義を直接批判しなかったため、騒動が拡大した。

 北朝鮮による「ミサイル威嚇」はすっ飛んでしまった感じです。

でも北朝鮮は米領グアムに向けてミサイルを撃つと警告しています。米国の一般市民も警戒心を持っているのではないですか。

高濱:グアムは米本土に住む一般市民にとって遠い存在です。グアムが米極東戦略の拠点だという認識もありません。米本土の一般市民には、北朝鮮のミサイルが自分たちの町を明日にも直撃するという実感はないのです。

 北朝鮮のテレビのアナウンサーが「大本営発表」よろしく米国を威嚇しても、米国の一般市民には馬耳東風なのですね。金正恩委員長の脅しは一般市民には効かないのです。

 確かに最近の世論調査で、北朝鮮はイランを抜いて「世界中で最も嫌いな国」となりました*2。しかし朝鮮戦争を体験した高齢者はともかく、一般市民は「コリアンと言っても、北朝鮮と韓国の区別などつかない」(韓国出身のミゾーリ大学准教授)ほど。

*2:今年4月の世論調査では「北朝鮮が嫌いだ」と答えた回答者は78%。「北朝鮮は脅威だ」との回答は56%。「北朝鮮がミサイルで米国を攻撃できる能力を持っている」との回答は47%。「それだけの能力なし」は43%。警戒感は二分されている、
("Americans hold very negative views of North Korea amid nuclear tensions," Jacob Poushter, FactTank, Pew Research Center,4/5/2017)