トランプ大統領の行き当たりばったり外交を見ていると、なるほどそういうことなのか、と合点がいきますね。

高濱:言ってみれば「ドクトリンなきトランプ・ドクトリン」ということになりますね。

それを裏で操っているのは誰ですか。例えばかってリチャード・ニクソン第37代大統領の補佐官だったヘンリー・キッシンジャー博士のような人はいるのですか。

高濱:キッシンジャー氏のような外交安保オールラウンドの補佐官はいません。ただトランプ大統領が決めて実行していることを褒めて、勇気づける人はいます。個々の政策について理論構成してくれるアドバイザーもいます。

 今ワシントン政界筋で囁かれているのが「バノン・カムバック説」です。前首席戦略官のスティーブ・バノン氏が政権の外にいて、いろいろ相談相手になっているというのです。トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席した折にはバノン氏がひそかに欧州に滞在していたと言われています。

 バノン氏の場合は「戦術部門」担当ではないかと思います。それに前述のハニティ氏も「パブリック・ディプロマシー」部門ではいろいろの助言を与えているはずです。

 中国との貿易戦争が勃発しました。「宣戦布告」の筋書きを描いたのは対中強硬派の急先鋒、ピーター・ナバロ国家通商会議(NTC)議長(前カリフォルニア大学アーバイン校教授)とされています。政権発足から1年半、ナバロ氏はあまり表立った動きはしていませんでした。対中貿易が浮上したことで大統領との距離が縮まり、ロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表やウィルバー・ロス商務長官を飛び越える存在になっているとされます。

 つまりトランプ大統領のブレーンは、個々の政策・局面でピックアップされて大統領に仕えているのです。でも「トランプ・ドクトリン」という以上、中長期的な目標とは何なのか。この点については次の機会にお話ししたいと思います。