ハニティ氏をそれだけ信頼しているということですね。口の悪いジャーナリストは「ハニティは今やトランプ大統領の政権外ブレーン兼宣伝部長に昇格しているよ」という者もいます。現にトランプ大統領は、番組の後にしばしばハニティ氏に電話をかけているそうです。ホワイトハウスの電話交換手はハニティ氏から電話が入ると、直ちに大統領につなぐことになっているようです。

 まず北朝鮮について。ハニティ氏は、米朝首脳会談の予定が発表された直後からこれを支持してきました。会談後には「これまで、みんなが直接会うのは賢明ではないと言っていた人物に喜んで話し合った大統領の行動は称賛に値する」とべた褒めでした。

 ハニティ氏は、バラク・オバマ大統領(当時)がキューバのラウル・カストロ国家評議会議長と5年前に握手した時には、「この大統領は同盟国のリーダーと会うよりも敵国の指導者がお好きなようで」と皮肉っていたんですよ。南アフリカのネルソン・マンデラ前大統領の葬儀が行われた時のことです。

 米朝首脳会談に際して何の準備もせずに「外交ショー」に終始した――と主要メディアが手厳しく批判する最中、ハニティ氏のコメントは異色でした(笑)。
"'Daily Show' Exposes Sean Hannity's Trump-Kim Hypocrisy," Matt Wilstein, Daily Beast, 6/12/2018 )

「トランプ大統領は米ロ首脳会談で力強さを見せた」

準備不足と言えば、7月16日の米ロ首脳会談もそうでしたね。さらに会談後の記者会見でトランプ大統領は、ロシアが2016年米大統領選に介入した問題に関して、「ロシアが選挙になぜ干渉するのか理由がわからない」と発言。改めて介入を否定したプーチン大統領に同調しました。米国内で大問題になっていますね。

高濱:ハニティ氏はこの記者会見でのトランプ大統領の発言についても「わが大統領は実に力強く振る舞っていた」と絶賛しています。ハニティ氏はその理由を、トランプ大統領との単独インタビューでこう述べています。

 「大統領閣下、あなたは(米大統領選に介入したとされる)サーバーはどこにあるのか、ピーター・ストラック米連邦捜査局(FBI)捜査官*は何と言っているのか、(ロシアが関与したとされる)3万3000通の電子メールはどこにあるのか、などとプーチン大統領に厳しく追及していましたね」

*:FBI捜査官としてヒラリー・クリントン氏の私用メール問題やロシアゲート疑惑の捜査を担当していた。FBI内部の弁護士とのメール交換でトランプ氏を馬鹿呼ばわりするなど捜査の中立性に疑問を持たれるようなコメントしたことで知られる。モラー特別検察官が率いるチームの一人だったが解任された。

 もっともFBIやモラー特別検察官が「ロシアの介入があった」と結論づけ、ロシア人情報部員12人を起訴しているというのに、トランプ大統領は、介入を否定するプーチン大統領の肩を持っている。

 これは外交問題ではなく、いま米国内で進んでいるロシアゲート疑惑の根幹をなす問題なのです。共和党支持者もさすがにこのハニティ氏の発言にはついていけませんね。

 問題はこのハニティ氏の単独インタビューを330万人の米国民が見ていることです。ハニティ・ファンの人たちはそのまま信じてしまう。ちなみにラジオ番組のほうは週平均1400万人がハニティ氏のコメントを聞いています。
" Hannity praises Trump on Putin press conference: 'You were very strong,'" Max Greenwood, The Hill, 7/16/2018 )