バノン氏が再びうごめき始めた?!(写真:Shutterstock/アフロ)

米ニューヨーク・タイムズや米CNNなどはドナルド・トランプ大統領に対して、基本的な政策も計画もなく行き当たりばったりの外交を続けていると厳しい批判を浴びせていますね。実際のところ米国民はトランプ外交をどうみているのですか。

高濱:今の米国は真っ二つに割れています。客観的な尺度として世論調査を見ると、米国民の44%前後はトランプ大統領の政策を支持しています。
"President Trump Job Approval," Realclearpolitics, 7/22/2018)

 それに米上下両院の過半数を占める与党共和党議員たちは一部(重鎮のジョン・マケイン上院議員=元共和党大統領候補のような議員)を除いて、トランプ大統領の政策を支持しています。トランプ大統領は党大会で正式指名を得た共和党の大統領候補ですから、逆らうと後(中間選挙)が怖いと考えているのでしょうね(笑)。中間選挙は4カ月先に迫っています。共和党幹部の中には「外交は選挙には響かない。選挙民の関心事は身近な経済・景気だけだ」と強気の姿勢を見せる者が少なくありません。
"Republicans see no Helsinki effect on 2018 midterm elections," Al Weaver, Washington Examiner, 7/21/2018 )

米国から遥かに離れた日本から見ると、日本メディアのワシントン特派員が伝える米メディアの報道と、トランプ大統領がツイッターに上げる投稿や支持者だけを前にした演説から分かる「実際の外交」との間に乖離があります。それゆえ戸惑いを感じるのです。どちらが本当なのか、と。

高濱:そこがまさに「トランプ政権下のアメリカ」なのです。

 トランプ大統領のスローガンは「エスタブリッシュメントとの闘い」です。エスタブリッシュメントと言っても、既得権を得ているのは保守派だけではありません。米ニューヨーク・タイムズもエスタブリッシュメントの一角を占める堂々たる存在です。

 トランプ氏がこうした主流メディアを嫌うのはそのためです。トランプ氏にしてみれば、いつまでもロシアゲート疑惑を追及する、政策の重箱の隅をつつく。中立性に欠ける主流メディアは度し難い存在です。これは感情論ではないのです。もっと根の深い政治スタンスをめぐる対立なんですね。

 トランプ大統領と主流メディアとの対立は、おそらく、トランプ大統領が第1期の任期を終えるまで続くでしょう。

 むろんトランプ大統領の外交を支持するメディアもあります。保守系ケーブル局の米フォックス・ニュースとか、超保守系のメディア「ブライトバート」とか。トランプ政権とフォックスは一心同体だと皮肉る人もいます。事実、トランプ政権の発足後、フォックスからトランプ政権入りする人が引きも切りません。

 実は、トランプ政権の発足から1年半たった今、トランプ支持のメディアとトランプ大統領に批判的なメディアとの論争は激しさを増しているのです。

 もっとも、現政権をめぐってメディアが支持と不支持とに分かれて対立しているのは米国だけではありません。安倍晋三政権の政策をめぐって日本のメディアは右と左とに分かれてやり合っているではありませんか。

なるほど。トランプ大統領を支持する反主流メディアはこの一連のトランプ首脳外交をどう報じているのですか。

トランプ単独インタビューを独占するフォックス

高濱:実は、一大イベントだった金正恩朝鮮労働党委員長とのシンガポール会談、ウラジミール・プーチン ロシア大統領との首脳会談の直後にトランプ大統領が単独インタビューに応じたのはフォックス・ニュースのショーン・ハニティ氏*だけです。

*:テレビ、ラジオのトーク・ニュース番組の司会者。作家。政治評論家。ニューヨークにある聖ピウス・エックス・プレパラトリー神学校(高校)卒。ニューヨーク大学に入ったが中途退学。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で工事請負業派遣社員として働いていた時に大学のラジオ局で司会をやったのがメディア業界入りのきっかけ。その後その保守的な発言が波紋を呼び、保守系パーソナリティとして業界でも一二を争う司会者になった。