トランプ大統領は得意のツイッターを使って(最近ではメディアとの単独インタビューで)緊迫感を煽っています。28日にもAP通信とのインタビューでこう言っています。「下手をすると、北朝鮮とどでかい、どでかい戦闘(Major major conflict with North Korea)になる可能性すらある。無論、外交的に解決したのはやまやまだが、これは相当難儀なことだ」
("Transcript of AP Interview with Trump," AP, 4/24/2017)

 一方、大手石油企業エクソンの最高幹部だったティラーソン氏の方は、国務長官然とした風格が出てきてきました。雄弁じゃないけど、発言には重厚さを感じます。自ら議長を務めた4月28日の国連安保理閣僚会合の場では、北朝鮮に対する外交的圧力と経済制裁の強化を訴えました。北朝鮮が核を放棄すれば、直接対話してもいいとすら仄めかしています。
("Interview with Bret Baier of Fox News," Rex W. Tillerson, Secretary of State, Department of State, 4/27/2017)

「災い転じて吉」?深まる米中首脳の個人的信頼関係

中国の存在がこれまで以上にクローズアップされています。米中首脳の胸のうちはどうなのでしょう。

高濱:トランプ政権が発足するまで、南シナ海での中国の軍事行動や為替・通商摩擦を抱え、米中関係は波乱含みだと言われていました。ところが、皮肉なことに金正恩委員長の挑発行為のお陰でトランプ、習近平両氏の個人的な関係は深まっているようです(笑)。

 トランプ大統領は就任100日経って、することなすことうまく行かない。習主席も今年秋の中国共産党全国代表大会(党大会)を控えて、内政外交すべてで失敗は許されない。

 4月4日にフロリダ州パームビーチの「マー・ア・ラゴ」で行なわれた両者の会談・懇談は初対面にもかかわらず、「肝胆相照らすものだった」(ホワイトハウス詰めの米テレビ記者)と言われています。

 それから8日後の12日に、両首脳は緊迫化する朝鮮半島情勢をめぐって電話で協議しています。習氏は北朝鮮問題について「対話を通じた解決」というこれまでとは異なる表現を使いました。これまでは「すべての側による自制と状況の激化回避」と表現していました。ワシントン外交筋は、「習氏は米国が求める対北朝鮮制裁強化にある程度応じる意思表示をしたのではないか」と分析しています。

トランプ・習近平の関係緊密化で米中に「変化」

 4日の首脳会談以後、米中の関係に「変化」が出ていました。

 中国は13日、今年1月~3月期の北朝鮮からの石炭輸入量が前年同期比で半分に減少したと発表しています。さらに14日には中国国際航空の北京―ピョンヤン運航便を17日から停止すると発表しました。

 一方、米国側にも「変化」が見られます。米財務省は14日に公表した半期為替報告書で、中国の為替操作国への認定を見送りました。認定は、トランプ大統領が「公約」に掲げていたものです。米中首脳協議を踏まえ、中国へ配慮したと見るべきでしょう。

米国が求める対北朝鮮制裁強化で中国が動き出したことが北朝鮮に影響をあたえているのでしょうか。

高濱:北朝鮮は、25日の朝鮮人民軍創設85周年に合わせて行なうと見られていた核実験を現時点までしていません。確かに16日と29日に弾道ミサイル実験をしました(ともに失敗)。「史上最大の軍事演習」も行いました。しかし核実験はしていません。