次の焦点は「4・19ニューヨーク対決」

今後、支持者のトランプ離れは加速するのでしょうか。

高濱:今後の焦点は、ニューヨーク州(4月19日)やペンシルバニア州、メリーランド州(ともに4月28日)で、トランプ急降下現象が起こるのかどうかです。

 現時点での予想では、トランプ氏はニューヨーク州、ペンシルバニア州でも優勢のようです。ニューヨーク州はトランプ氏の地元ですが、同州の共和党員はリファインされている(知的で洗練されている)はず。実際の投票で予想通りの結果が出るかどうか、注目したいと思います。

 ニューヨーク州の代議員数は95人。「勝者総取り」ではなく、得票率を反映した「比例配分」です。
("2016 Primary Forecasts: N.Y. Republican primary," FiveThirtyEight, 4/4/2016)
("2016 Primary Forecasts: Penn. Republican primary," FiveThirtyEight, 4/4/2016)

核心は「核武装」より「同盟の片務性」

トランプ氏の日本に関する一連の発言をめぐって、日本国内では複雑な反応が出ています。日本の核武装を是認する発言がクローズアップされていますが、発言の核心は、トランプ氏が「日米安保条約の片務性」を問題視していることではないでしょうか。

高濱:確かに日本の核武装に関する議論はこれまでに何度も出ています。そのいずれも、日本が核武装することを恐れる警戒心から出たものでした。それを「是認してもいい」と言っているわけですからショッキングな発言ではあります。

 ただ、トランプ氏のこの発言には、いくつかの前提があります。「安保条約は米国にとって『持ち出し』ばかりでメリットが少ない」という不満がまずある。それを日本と再交渉して改定することができないなら在日米軍を撤退させる。米軍が撤退したあと、日本がどうするかは日本が決めること。もし日本が核武装するならば、それも致し方ない、と言っているわけです。

 菅義偉官房長官は「誰が次期大統領になろうとも日米関係は揺るぎない」と発言しています。トランプ氏が大統領になることは恐らくないだろうと考えているのでしょう。大統領になったらなったで、より現実的な対日政策をとるようになるという希望的観測もありそうですね。

 安倍晋三首相はトランプ氏の発言について、米ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビュー(4月6日付)の中で、直接言及することは避けながらこう述べています。

 「日米同盟の重要性は誰が大統領になろうとも変わらない。予見できる将来では、在日米軍が必要でなくなる状況は想像できない。アジア太平洋において米軍の存在が必要だと信じている」
("Shinzo Abe Says Countries Must Avoid Competitive Currency Devaluations," Paul Jackson & peter Landers, Wall Street Journal, 4/5/2016)