トランプに有利に働いた「例外条項」

「スーパーチューズデー」が行われた各州はすべて比例分配方式でした。その例外条項はどういった影響を与えましたか。

 スーパーチューズデーでは、アラバマ、ジョージア、ルイジアナ、テキサス、テネシーなど南部州がこの「ルール40B」を適用しています。従ってトランプ氏はアラバマ、テネシーの両州ですべての代議員を手中に収めました。勝者総取りと同じ結果になったわけです。
("The Real Import of Rule 40 in 2016," frontloading.blogspot.com, 12/13/2015)
("Dramatic, Little Known GOP Rule Change Takes Choice Of Presidential Candidate Away From Rank And File Republicans And Hands It to Party Elite," Rich Ungar, Forbes, 4/7/2014)

トランプの「禁じ手作戦」功を奏す

トランプ氏は同じ共和党のジョージ・W・ブッシュ元大統領を名指しで批判しましたね。それなのになぜこれほどの票を集めているのですか。予備選は党の中での指名争いですから、自分が所属する党出身の歴代大統領は批判しないのが慣例なのでは。

高濱:トランプ氏はサウスカロライナ州予備選前になってブッシュ元大統領のイラク政策を真正面から批判しました。トランプ氏はライバル候補であるジェブ・ブッシュ氏を批判する手段として、ブッシュ元大統領のイラク戦争突入を厳しく批判しました。それだけでなく、01年の東部中枢同時多発テロですら、「大統領がブッシュでなければあのテロは防げた」とその責任を追及したのです。

 民主党でも共和党でも、大統領候補が自分の党出身の歴代大統領を名指しで批判することはしません。その意味では、トランプ氏はまさに「禁じ手」を使ったのです。ところがそれが見事成功しました。

 声を大にしては言いませんが、共和党員の多くもトランプ氏と同じことを思っているはずです。そこをトランプ氏は代弁し、ブッシュ元大統領を批判、返す刀で兄ジョージ氏を弁護するジェブ氏を叩いたのです。結局トランプ対ブッシュの論戦はトランプ氏に軍配が上がりました。

 CNNテレビが行った出口調査でも明らかになったように、共和党員の半数は既成の共和党が自分たちを裏切ったと答えています。その意味で、ブッシュ元大統領およびブッシュ・ファミリーはその格好の標的になってしまったようです。

 自らが所属する党の元指導者や既成政治家を批判して選挙で勝つ手法は、日本でもありましたね。01年、小泉純一郎氏が党総裁選で「自民党をぶっ潰す」と言い放って、党主流派が推す橋本龍太郎氏を破ったことを思い出します。

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