弾道ミサイルの発射実験を視察する金正恩委員長(写真:KCNA/新華社/アフロ)

日米首脳会談において、両国は同盟関係の重要性を確認。米国は経済分野で具体的な要求を一切突きつけてきませんでした。日本にとっては大成功だったように思います。米国側の受け止め方はどうですか。

高濱:米メディアの中には「両首脳は19秒握手した」「ぎこちないハグをした」といった報道がありました。日米関係の実態をあまり知らないホワイトハウス詰めの記者の薄っぺらい記事が多かった印象です。

 一方、その意義を指摘したメディアもあります。AP通信はこう報じました。会談前にドナルド・トランプ大統領が中国の習近平国家元首に電話をしたうえで安倍晋三首相との会談に臨んだ点をとらえて、「トランプ政権の対アジア政策が、日米同盟堅持という従来のスタンスに回帰した」。

 米外交専門家の間では、「政権成立直後のこの時期に、安全保障分野のツボをこれだけ適切に突いた共同声明を出せたのは驚きだ。マイケル・フリン大統領国家安全保障担当補佐官の違法疑惑*が表面化していたし、国務・国防両省の体制もまだ完全に整っていないのに」(米国務省の元高官)と評価する向きもあります。

*:フリン氏が就任前に駐米ロシア大使に接触し、対ロ制裁解除をめぐって協議したとの疑惑が浮上した。民間人が外交交渉に介入することを禁じる法律に抵触する。その後3月13日、同氏は補佐官を辞任した。

 とくに国防総省元高官の一人は、「トランプ大統領が会談後の記者会見で在日米軍駐留問題に触れ、『米将兵を受け入れてくれている日本国および日本国民に我々は感謝する』と述べたのを聞いて自分の耳を疑ったよ」と私に言っていました。

「日本国民に感謝する」の振り付けはマティス長官

日本でもあの発言は驚きをもって受け止められました。選挙中、あれだけ日米安保条約の片務性を声を大にして主張していたトランプさんですからね。いったい誰が振り付けをしたのですか。

高濱:2月に日本を訪れたジェームズ・マティス国防長官ではないか、と言われています。元海兵隊大将ですし、在日駐留米軍の現状をよく知っています。訪日した際に、駐日大使館や駐留米軍幹部から情報を得ていたのでしょう。在日駐留軍経費について日本が86.4% も負担している事実をトランプ政権閣僚・補佐官の中で知っているのはマティス長官ぐらいじゃないですか。