共和党エスタブリッシュメントがトランプを嫌う理由

共和党エスタブリッシュメントはどうしてそれほどまでにトランプ氏を嫌っているのでしょう。

高濱:共和党保守本流の人たちは「トランプではヒラリー・クリントンには勝てない」と思っています。その理由は、第一に反エスタブリッシュメントであること。さらにあまりにも毒舌が過ぎることです。本選挙では、白人だけでなく、黒人もラティーノも投票します。人種的差別発言や政策なき暴言が多すぎるために、勝つのは困難と見ているからです。世論調査結果もそれを裏付けています。
("Poll: General Election: Trump vs Clinton," Real Clear Politics, 2/9/2016)

 逆にルビオ氏やブッシュ氏ならクリントン氏と互角に戦えるというわけです。
("Poll: General Election: Bush vs Clinton," Real Clear Politics, 2/9/2016)

 共和党エスタブリッシュメントが巨額の選挙資金を出す仕組みにスーパーPAC(政治行動委員会)があります。

 ブッシュ陣営はアイオワ州だけで1億4900万ドルをテレビとラジオのCMに使いました。このカネはすべて、このスーパーPACから出ています。ちなみにルビオ氏が使った金額は1180万ドル、クルーズ氏は600万ドル、トランプ氏は330万ドルです。ブッシュ氏以外にスーパーPACからカネをもらったのはルビオ氏だけでした。
("How much did the candidates spend per vote in Iowa?" Joe McCarthy, Global Citizen, 2/2/2016)

「既成」保守に裏切られた「大衆」保守

いっぽう、一部の共和党員・支持者はどうしてこれほど熱狂的にトランプ氏を支持しているのでしょう。

高濱:当初はメディアも選挙専門家たちも、「トランプ氏を支持しているのは、教育程度がそれほど高くない白人ブルーカラー層だ」と決めつけていました。ところが予備選が始まり、トランプ氏がアイオワ州で24%の得票したことで、こうした見方が変わり始めています。実際の得票が、事前に行われた世論調査に表れた支持率に極めて近いからです。

 ジョージ・メイソン大学のマーク・ロゼル教授(内政・国際関係専門)は、こう述べています。「共和党内は、宗教保守でも体制派でもないトランプに賭けてみるかといった雰囲気になっている。これまで、牧師のマイク・ハッカビー元アーカンソー知事のような宗教保守を選ぼうとしたが、予備選でジョン・マケイン氏に勝てなかった。共和党体制派のジョージ・W・ブッシュ氏を大統領に当選させたが、自分たちが期待していたことは何一つ実現してくれなかった。宗教保守も駄目、共和党主流も駄目と思っている」。
("Why Do Evangelical Christians Love Donald Trump? Ousider Candidate Fires Up Voters Who Are Tired of Losing," Ismat Sarah Mangla, Ibtimes, 1/28/2016)