ドナルド・トランプ米大統領が署名した、シリア難民の無期限受け入れ停止や中東やアフリカ7か国出身者の一時的な入国禁止を柱にした大統領令(以下、大統領令)が米国内外で波紋を広げていますね。

米ニューヨークでは、大統領令を支持する集会が開かれた(写真:ロイター/アフロ)

高濱:トランプ大統領は律儀なほど選挙公約を守り、着実に実行に移しています。これまで署名した大統領令、大統領覚書は、就任後直ちに実行すると公約した「100日間行動計画」に盛り込まれたものばかりです。

 この計画に盛り込まれていて、まだ署名していないのは、中国の為替操作国認定、国連気候変動プログラムへの資金拠出停止、法人税・所得税の減税、インフラ投資などです。

米国民が大統領令に賛成する理由

注目すべきは大統領令に対する米国民の反応です。世論調査では、大統領令に賛成する人が49%もいました。反対は47%。つまり米国民の半分は支持、半分は反対しているのですね。

高濱:そうなのです。米国民がいかにテロを恐れているかがよくわかります。トランプ大統領がこの大統領令を出した真の意図は「イスラム教徒締め出し」と見られています。

 大統領令に反対している人のホンネは「トランプ氏が嫌いだ」ということでしょう。タテマエとしては「米国が掲げる自由」「宗教の自由に反する」を挙げていますが。つまりトランプ氏のやること、なすことのすべてに反対しているのです。

 問題は、大統領令によってテロが減り、より安全になるかどうかです。同じ世論調査で、大統領令が発令される前より「安全になった」と答えた人は31%、「危険になった」と答えた人は26%。ここでも国論は二分しています。

 ロサンゼルス近郊のアルハンブラでガソリンスタンドを経営するトム・ストーン氏(48)は、その「庶民感覚」について私にこう述べています。「ここ1、2年の間に米国内で起こったテロはイスラム教国から侵入したテロリストの仕業じゃない。米国に定住しているイスラム系移民の子供や孫が、インターネットなどを通じてイスラム過激派の思想に染まってテロに走っている」。

 「大統領令に怒ったイスラム系移民の中に『それならテロをやってやろうじゃないか』と考える者が出てくるかもしれない。そちらを警戒する必要が生じている」

 では、どうしたらいいのか。米国民にも正直言ってわからない。でも、何もしないよりも大統領令を出したほうがよいのではないか。これが大統領令 を支持する半分の人たちの「庶民感覚」なんだと思います。