議員席に向かって拍手をうながすトランプ米大統領(写真:The New York Times/アフロ)

ドナルド・トランプ米大統領が1月30日、一般教書演説を行ないました。米国民はどう受け止めていますか。

高濱:「分裂国家」という今の国情を反映して、与野党の間、また保守とリベラルの間で評価は真っ二つに割れています。

 リベラル派が「トランプが空想的な虚構国家の国情を報告した」(米ニューヨーク・タイムスのフランク・ブルーニ記者)と評す一方で、保守派は「トランプが共和党員に喧嘩で勝つ方法を教えた演説」(米ニューヨーク・ポストのマイケル・グッドウィン記者)と論評し、対照的でした。
("The Fictitious State of Trump's Fantastical Union," Frank Bruni, New York Times, 1/30/2018)
("Trump Is Teaching Republicans How to Fight and Win," Michael Goodwin, New York Post, 1/30/2018)

 ただ客観的に見ますと、「これがあの毒舌家のトランプ大統領か」と思わせるほどの内容と振る舞いでした。声は落ち着き払っており、滑らか。大げさな身振り手振りもなし。ドギツイ表現は一切封印。歴代大統領を踏襲した大統領然たる年頭の一般教書演説でした。

 ただし、型破りな面をみせる場面もありました。トランプ政権の目玉政策を読み終え、与党席の議員たちが立ち上がって拍手喝采する場面では、自らに拍手。時には与党席に拍手を強要するかのような素振りもみせました。自分が演説をしている最中に、自らに拍手をする大統領なんて見たことがありません。しかも何度もです。

 無論、野党席の民主党議員たちは憮然とした表情。座ったままで、拍手などしませんでした。下院本会議場は最初から最後まで分裂したままの90分でした。
("Best behavior: How Trump alters his tone to suit the occasion," Marc Fisher, Washington Post, 1/30/2018)

数字を並べたて、さながら株主総会におけるCEOの年次報告

秋の中間選挙を見据えて、大統領としての実績を盛んにアピールしていましたね。

高濱:次から次へと数字を挙げて、経済や雇用での実績を自画自賛しました。90分の演説の前半部分は大統領の演説というよりも、企業の最高経営責任者(CEO)が株主総会で行なう年次報告のような印象を受けました(笑)。

 実は、演説の2日前の28日、トランプ政権の高官が演説内容や狙いについて事前に記者団に説明しました。その高官は「トランプ大統領は、この演説で『安全で、強くて、誇りを持てる米国を作る』ために全力を上げる決意を表明する」と言っていました。