アイオワ党員は「民主党エスタブリッシュメント」に反発

これまで絶対優勢と言われていたクリントン氏はなぜ予備選が始まる直前で支持率を落としているのでしょう。

高濱:CBSとCNNの世論調査を詳細に見ていくと、いくつかのことが分かります。

 第一にクリントン氏を支持するアイオワ州の民主党員・支持者は、外交と銃規制、テロ対策に対する同氏の姿勢を評価しています。

 一方サンダース氏を支持する人は「ウォール・ストリート改革」、つまり大企業優遇政策の是正と税制改革をその理由に挙げています。「クリントン氏は民主党系大企業・労組から大口の選挙資金を集めている」と見る民主党員・支持者が多く、彼らは「クリントン氏には、ジョージ・W・ブッシュ時代から続いている大企業優遇税制を撤廃することなどできない」と判断しています。

 CBS世論調査は、「あなたは、クリントン氏とサンダース氏のどちらが『今あなたが感じていることを一番とらえているか』(Gets it)」と党員・支持者に質問しています。これに対して、「サンダース氏だ」と答えた人は85%、「サンダース氏ではない」と答えた人は15%。「クリントン氏だ」と答えた人は65%、「クリントン氏ではない」と答えた人は35%となっています。「Gets it」ではサンダース氏がクリントン氏に20%も差をつけています。

 面白いのは、「民主党の伝統的な価値観を誰が堅持しているか」との問いに、リベラル派のサンダース氏と答えた人が57%、クリントン氏と答えた人が38%だったことです。これがニューヨーク・タイムズが指摘する「画期的な戦い」なのです。

 共和党でも一般党員・支持者は、不動産王のドナルド・トランプ氏やテッド・クルーズ上院議員を支持し、「共和党エスタブリッシュメント」(共和党穏健保守本流)が推すジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事やクリス・クリスティ・ニュージャージー州知事らに反発しています。ある選挙専門家は、それと似た現象が民主党内にも起こっていると筆者に指摘しました。つまり「民主党エスタブリッシュメント」(民主党穏健リベラル本流)に対する一般党員の反発がサンダース氏支持になっているというのです。1972年に急進リベラル派のジョージ・マクガバン上院議員が民主党の大統領候補になった時を彷彿させます。

 それでいながら、民主党員・支持者は現状を理解しています。「本選挙で共和党候補に勝てるのはどちらか?」との問い対する回答は、「クリントン氏」が60%、「サンダース氏」が38%でした。こうした認識も共和党支持者の多くが「トランプ氏では本選挙には勝てない」と言っているのと似ています。

 CNNの世論調査に答えた民主党員・支持者のうち、「投票する候補者を最終的に決めている」「ほぼ決めている」と回答した人が80%(男性の82%、女性の77%)に上っています。従って、この世論調査の結果がそのまま投票結果を示す可能性が大です。