「ニクソンは国務長官にはウィリアム・ロジャーズ(司法長官)、国防長官にはメルビン・レアード(下院議員)を指名した。言葉は悪いが二人とも『お飾り』的存在だった。実際の外交国防政策を立案し、決定したのはニクソン=キッシンジャー・ラインだったからだ。それを可能にしたのはハルデマンとエーリックマンという『壁』だった。国務省や国防総省の官僚たちに有無を言わせなかったのはこの二人だった」

 「おそらくトランプもこの手法を取るに違いない。ハルデマン役はスティーブ・バノン大統領上級顧問、エーリックマン役はケリアンヌ・コンウェイ大統領顧問、キッシンジャー役は、ちょっと荷が重いかもしれないが、マイケル・フリン国家安全保障担当補佐官といったところだ」

 「ただトランプ氏の場合、ニクソンと一つ違うことがある。大統領上級顧問に指名された娘婿のジェレッド・クシュナーの存在だ。トランプの信頼も厚いし、頭脳明晰、若いのに人心掌握術に長けている。トランプ氏に影のようにつきまとい、政策全般で重要な役割を演じそうだ」

「帝釈天・トランプ」を支える「四天王」

 ご参考までに1月7日現在、決定したホワイトハウスの陣容と記しておきます。

*大統領上級顧問(上級戦略担当) スティーブ・バノン(元保守系メディア経営者)
*大統領上級顧問 ジャレッド・クシュナー(娘婿、クシュナー不動産オーナー、オブザーバー・メディア社オーナー)
*大統領顧問(戦略全般担当) ケリーアン・コンウェイ(保守系コラムニスト)
大統領首席補佐官 ラインス・プリ―バス(共和党全国委員長)
*国家安全保障担当補佐官(兼国際テロ対策担当、国家安全保障会議=NSC=事務局長) マイケル・フリン(元国防情報局長)
NSC首席スタッフ ジョセフ・ケロッグ(退役陸軍中将)
NSC担当副補佐官 キャサリーン・マクファーランド(元国防総省高官)
NSCアジア担当上級部長 マット・ピッティガー(元ウォールストリート・ジャーナル中国特派員、退役海兵隊大佐)
NSC上級戦略コミュニケーション部長 モニカ・クロウリー(保守系コラムニスト)
国土安全保障担当補佐官(兼国内テロ対策担当) トーマス・ボサード(元大統領国土安全保障担当副補佐官)
国際交渉特別代表(新設) ジェイソン・グリーンブラット
国家通商会議議長(新設) ピーター・ナバロ(カリフォルニア大学アーバイン校教授)
大統領報道官 シーン・スパイサー(共和党全国委員会コミュニケーション部長) 戦略コミュニケーション部長 ホープ・ヒックス(選挙対策本部報道官)

 *印をつけたバノン上級顧問、コンウェイ顧問、フリン国家安全保障担当補佐官と、娘婿のクシュナー氏の4人は、言ってみれば、「帝釈天」であるトランプ大統領を支える「四天王」です。トランプ氏が当初「泡沫候補」「億万長者ピエロ」などと言われていた当時からトランプ氏の勝利を信じて忠誠を誓ってきた「忠臣」です。

 プリ―バス氏は、肩書こそ大統領首席補佐官であるものの、共和党保守本流からきた「外様」。ホワイトハウス内では微妙な立場に置かれそうです。