役員と女性社員とのラウンドテーブルの様子

女性に働きかけるだけでなく、役員自身の勉強になるというのは面白いですね。

武富:ほかにも、社内で「次世代女性リーダー塾」というものをやっているのですが、役員にも各チームの担当になってもらっています。

 当事者として関わることで、女性に対する固定概念が崩れます。一人ひとりと向き合うと、みんなすごくいいものを持っていることがわかるんです。今は非常に前向きに変わって「この女性を引き上げたい」と話すと、「オレもそう思う」みたいな話がどんどん増えています。メンターもリーダー塾の担当も、最近は役員のほうからやらせてくれって言いますよ。

 役員が変われば部長や支社長も変わっていく。今度は彼らが自分事化して、責任をもって一人ひとりをきちんと見て育てていこうというふうに連鎖していると思っています。

 ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの中で、女性に限らず、上司の部下に対する見方が変わってきたと思います。一人ひとりの個性や価値観を大事にすること、それを伸ばすためにはどうしたらいいかということを、上の人間が考えるようになる。当たり前のことですが、以前はそれがなかなかできていませんでした。女性のキャリアアップを一つのきっかけにして、人を生かす力を高める動きが会社全体に広がってきていると思います。

RPAを活用し働き方改革を推進し、人は価値創造に注力する

現在どの企業も働き方改革を推進していまが、その成功の鍵は、テクノロジーの活用ともいわれています。特に金融業界は積極的に取り入れている会社が多いという印象です。第一生命保険ではその点はいかがでしょうか。

武富:AIは保険金支払査定等の一部の業務で活用し始めていますが、まだまだこれからの段階です。いま考えていることとして、まず私共は膨大な保険の事務を抱えていますので、データの入力や検証、突合をRPAに任せ、人は価値創造に注力する。もう一つは、医療情報やマーケティングなどに関する膨大なデータをより有効に使い、商品開発やサービスに役立てることです。

 当社は国内では第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命という3つの生命保険のブランドを展開しています。コンサルティングをしっかりやってほしい、安い保険料やエッジの効いた商品が欲しいといったお客様のニーズ等により迅速に応えていくためにブランドを分けているのですが、エッジの効いた商品企画や営業(ホールセラー)において女性が活躍しています。性別で分けることはないのでしょうが、新しいものを生み出したり、既存のものに囚われないのは、女性の強みではないかと思います。

 テクノロジーを使って事務的な仕事を減らし、お客様に提供する商品やサービス、コンサルティングにもっと労力を費やしていく。そこに女性ならではの価値創造が組み合わされば、経営にとっても非常にプラスになります。第一生命グループにとっての働き方改革は、単に残業や業務量を減らすことが目的ではなく、いまやっている仕事を組み替えて時間をつくり、よりお客様のために向かっていくこと。その結果として生産性を上げていくことだと考えています。

海外グループ各社の実務担当者が一堂に集まるグローバル・マネジメント・カンファレンスを部門ごとに開催する

海外のグループ会社との交流にも力を入れているそうですね。

武富:当社のグループ会社がアメリカやオーストラリアにありますが、グローバルベースでの働き方改革はこうした国々のほうが進んでいますので、グループの中で共に学びあう機会をつくりました。互いに人財を派遣したり、海外グループ各社の実務責任者が一堂に集まるグローバル・マネジメント・カンファレンスを部門ごとに開催したりしています。

 メガバンクや損保のような再編の経験がない我々にとって、海外展開を通してさまざまな違いや価値観の多様化を経験することは、大きなダイバーシティの一つです。一般的なM&Aではコストシナジーの追求を前面に打ち出しますが、我々は人財やノウハウのシナジーにより「共に学び共に成長する」ことを大事にしたいと考えています。

 生命保険というのは国の歴史や文化、規制等が背景にあるので、世界中で同じ商品やサービスは成り立ちません。ローカルそれぞれのブランドを大事にしながら、今までとは違った価値観を経営に取り入れてグループ全体としてプラスにしていく。そういったグローバル・ダイバーシティが次のステップになると思っています。

 日経BP総研では、11月より「働き方改革フォーラム」を開始します。

 このフォーラムでは、「働き方改革自己診断プログラム」や「従業員意識調査」を実施し、自社の課題を明らかにします。

 年12回の先進事例研究会で先進企業の戦略と施策を共有し、自社に最も効果的なKPI設定や行動計画が策定できるように支援します。

 先進事例研究会には、第一生命保険稲垣精二社長も登壇します。働き方改革を企業の成長に結びつけるための1年間の実践的なプログラムです。

 10月16日には、当フォーラム委員長を務める青山学院大学山本寛教授の特別講演会を含む無料説明会を実施します。

 ふるってご応募ください。詳しくはこちら