年功序列の排除もすすめて評価制度もより成果を重視したものに

評価制度もより成果を重視したものに変えていくのでしょうか。

寺田:現在、「年功序列の排除」も進めている最中です。男女関わらず、若手の登用・抜擢をしやすいように変えます。もちろん、ある程度のステップは必要ですよ。最低3年間は配置された場所で頑張り、成果が見えてきたら徐々に難しい仕事にトライさせる。ですから入社後すぐに思うような部署で働けなくても、腐らずに頑張ることです。成果を出して認められるためには、自己成長し、会社の収益拡大に意欲的に取り組む必要があります。

14年の社長就任直後から働き方改革にも着手されていますね。

寺田:従業員アンケートからも、長時間労働の課題が浮き彫りになりましたが、14年5月から20時以降の残業を原則禁止しました。2015年度は前年対比で本社従業員一人当たり残業時間が26%減少しました。
 人事にヒアリングをして残業の多い社員をリストアップし、分析したところ、必ずしも業績と比例しないことが判明したんですね。つまり、残業がある種の仕事習慣として定着していた。残業禁止にすれば、時短勤務や介護など、制約を抱える社員が働きやすい職場環境にも変わっていきますし、メリハリのある働き方をすることで、社員のメンタル面でも良い影響があります。

ダイバーシティ推進に不可欠な“意識改革”にはどのように取り組まれるのでしょうか。よくいわれるのは、男性上司たちに無意識のバイアスがあり、女性部下を育成できない。また、女性側にも無意識の性別固定観念があり、昇進モチベーションを妨げているという点です。

寺田:そこが最大のポイントになるでしょうね。昔は女性社員が少なかったため、どうしてもある種の配慮がありました。かくいう私自身もそうでしたが、営業推進部長時代に、とある女性部下を見て、考え方が大きく変わりました。その女性は他部署から異動してきたのですが、ある会議で我々ではとても考えつかないような革新的な意見を出してきたんです。それを見て、「ものすごい能力を発揮しだしたな」と驚きましたね。実力を認めだしてからは、一切の配慮はやめ、むしろ仕事をどんどん与える方向に変わりました。女性に対し、“無理はさせられない”と慮ることが、彼女たちの成長を阻害する要因になっていることは、すでに様々なところでもいわれていることです。
 しかし、まだ役員をはじめ、管理職クラスが皆、女性登用に対し、偏見がないとは言い切れない。現場の長の意識にもばらつきがあります。そのためにも、長期ビジョンをこれからのカゴメの方向性としてしっかりアピールし、意識改革を進めます。まずは半年に1度行われる役員との評価セッションで、「全役職女性比率50%のために、あなたは当面何をしますか?」と問い、提出させる考えです。

カゴメの個人株主の半分以上は女性。個人株主と交流を持つ「社長と語る会」にも女性株主の姿が目立つ

現在、ESGが投資家に注目されています。ESGとは、環境、社会、ガバナンスのそれぞれの頭文字を取ったもので、女性の活躍は主要な構成要因のひとつと言われています。株式市場でもESGに対応している企業が評価されている。カゴメが長期ビジョンを持って女性活躍を推進するのは、21万人の「ファン株主」にとっても朗報と言えますね。

寺田:来年の株主総会では、長期ビジョンへの思いをお伝えできると思います。全国3―4カ所で各10人の個人株主と交流を持つ「社長と語る会」を行っているのですが、そこで早速、長期ビジョンについてお話しする予定です。ちなみにこの会も、出席者の男女比は5:5なんですよ。
 女性は男性に比べ、社会で活躍し続けるにあたり、はるかにたくさんの壁があります。ただ、この「壁を乗り越える」ことが、人間としての強みに繋がると思うんです。
 20年後のカゴメは、ひょっとしたら商品だけではなく、サービスの提供が多くを占めていたり、あるいは10年後の社会課題に密接に関わってくるであろう“健康寿命延伸”の事業を通じて世の中に貢献しているのではないでしょうか。そうした中で、女性の視点が新たな事業の可能性を切り開くのではと期待しています。

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