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 一方、FRB理事・地区連銀総裁による最新の経済見通しでは、実質GDPが18・19年について下方修正となり、PCE(個人消費支出)デフレーターは全般に小幅下方修正された。

 声明文の第2段落では、①前回11月の声明文に含まれていたFFレート誘導レンジの「さらなる緩やかな引き上げ(further gradual increases)」がどう変わるか、②11月に「おおむねバランスしているようだ(appear roughly balanced)」となっていた経済見通しに対するリスクバランスがどうなるか、の2点に筆者は注目した。

 結果は、①がFFレート誘導レンジの「いくらかのさらなる緩やかな引き上げ(some further gradual increases)」に変わり、利上げが終盤であることを示唆。

カギを握るのは円高・ドル安進行の有無

 ②は、FOMCは経済見通しに対するリスクが「おおむねバランスしている(roughly balanced)と判断している」と書き換えつつ、「FOMCはグローバルな経済・金融の展開を引き続き注視し、経済見通しに対する意味合いを評価するつもりだ」と記述。下振れ方向への警戒をにおわせた。

 このように、米国の場合「おおむねバランスしている」というリスクに関する表現の基本線は一応維持されたわけだ。だが、金利上昇や株価大幅安による心理面も含めた悪影響、トランプ減税の効果はく落などから、リスクバランスが「下方に傾いている」へと変更される場合には、利上げの休止ではなく利上げ局面の明確な終了、さらには先行きの利下げの開始を、市場が織り込みにいく可能性が高い。

 大きな流れはそちらの方に向かっていると筆者はみている。「マネー」と「実体経済」の両面で、米国を中心とする世界経済は、大きな転換点を越えつつある。

 では、日銀の場合はどうだろうか。

 物価はともかく、経済(景気)についても「下振れリスクの方が大きい」と早々と警戒感を表明してしまっており、これはなかなか巧妙な立ち回り方である。ECBやFRBのように、リスクバランスの変更が政策変更の前触れではないかと、市場から詮索されることがない。

 日銀は、物価目標である2%が遠いために金融緩和が長期化せざるを得ないことを18年7月の金融政策決定会合で認めた上で、そのことによる弊害・副作用の大きさを前面に出すことによって追加緩和を求める声をかわし、効果と副作用を慎重に見極めながら現在の緩和を粘り強く続けていくのが一番望ましい、という論理構成をとっている。

 だが、この手法でいつまで持ちこたえられるだろうか。カギを握るのは円高・ドル安進行の有無である。