
2019年の国内景気は腰折れ(景気後退)のリスクをはらむ、危うい展開になるのではないか。筆者はそう予想している。
夏に相次いだ自然災害を主因に、日本の実質GDP(国内総生産)は昨年7~9月期に前期比マイナスになった。1~3月期に続く、18年では2度目のマイナス成長である。企業の景況感を示す数字は、製造業を中心にこのところ下向き加減である。内閣府は昨年9月の景気動向指数速報値の発表に際し、基調判断を「足踏みを示している」に引き下げた。輸出が好調だった16年や17年に比べ、18年の景気はもたつきが顕著になった。
内閣府の公式見解では、景気は12年12月に始まった戦後2番目に長い拡張局面を継続中。今月も続けば74カ月目になり、戦後の最長記録を更新する。後ろ向きの在庫の積み上がりや、設備投資のしすぎによる資本ストック調整の必要性、あるいは金融機関における不良債権蓄積といった、景気のサイクルに甚大な悪影響を及ぼす要素が現時点では見当たらないため、民間エコノミストの間では最長記録更新の予想が支配的である。
だが、その先には日本経済にとっての「難所」が控えている。19年には景気がついに腰折れする、足踏み・踊り場にとどまらず、後退局面入りするリスクが意識される。
なんと言っても心配なのは、世界経済の減速である。IMF(国際通貨基金)は昨年10月に発表した世界経済見通しで、世界経済全体の成長率を16年7月(英国民投票におけるEU離脱決定の翌月)以来、2年3カ月ぶりに下方修正した。具体的には、18・19年いずれについても、世界経済全体の成長見通しは0.2%ポイント下方修正されて前年比+3.7%になった。ユーロ圏、新興国、米国が主因である。
ユーロ圏では、製造業の景況感悪化が目立つ。米国の保護主義策などが警戒されている模様。また、FRB(連邦準備理事会)による利上げが積み重なったため、新興国では米国への投資マネー還流(リパトリ)が起こっており、中銀による通貨防衛目的の利上げを余儀なくされた国も少なくない。こうした動きは新興国の経済成長を着実に鈍らせる。
さらに、これまで「独り勝ち」の様相を呈していた米国経済についても、景気の先行指標である新規失業保険申請件数(イニシャルクレーム)が増加基調に転じているほか、金利敏感セクターの代表格である住宅市場が悪化。教科書的とも言えそうな流れで、金利上昇の影響が表面化している。
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